鳥たちが集まる、世界会議にて。
夕方から始まった会議は白熱し、深夜にまで及んでいた。
仕切る議長の熱量も高く、議論に拍車がかかる。
「ですから、人間なんていう生き物は諸悪の根源なんです。一度全滅させすべきだ」
鳩は鋭く言い放つ。
「いえ。こちらも何度も言っていますが、人間とは歩調を合わせて生きていくべきなんですよ」
鷹は反論する。
ここ、世界鳥類会議では、世界中の鳥類の中から選ばれた、各々種の代表が出席しており、意見は大きく2つに分かれていた。1つは、「人類絶滅」という強硬論を唱えるタカ派の鳩。もう1つは「共生すべき」と協調路線を主張するハト派の鷹。
「ある程度は残した方がいいんじゃないですか?」
中立派を自認するカラスが鳴く。
「あんたたちは人間の恩恵にあずかってるからだけじゃないか!奴らを家畜にするのが、我々眷属の悲願だ」
鶏は吠える。タカ派の鳩とは犬猿の中だが、急進さでは負けてはいない。
議論は終わりそうもない。
そろそろ“夜明け”という頃、これまで静かにしていたスズメが羽が上げる。
「結局の所、人間にも良いやつもいれば、悪いやつもいる。一度に、双方を全滅させるというのは残酷に過ぎると私は思います。人間に害鳥扱いされているドバトの鳩代表と、天然記念物として保護されている鷹代表ではそもそもが立ち位置が違いますし。ここはさらに議論を深めていきませんか?」
「いかがですかな?ここはスズメ代表の案を採用し、今後に向けて深めていくこととしましょう」
ここで議長はおもむろに仕切り、一同を納得させた。
──いや、別に名采配というわけではない。「ホウホウ」と鳴く議長のフクロウは、寝入ることができることを喜んだだけだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます