コストカッターの失敗。

「資本主義とは弱肉強食である。我が国は豊かであり、どんな人であっても努力さえすれば稼ぐことができるのだ。つまり、高度に発展した我が国における貧困層とは、努力をしていない愚者であり甘えである。そんな愚者に使う予算など無い」と、とある国の政府に近い御用学者は唱え、それは実行に移された。御用学者の家は裕福であり、教育投資はもちろんのこと、親から潤沢な資金を得ていた。


 不思議なことに、そうした考えや実行に対して反対をする声は少なく、むしろ国民たちは政府を支持したのだ。政府は過去最高の支持率を持ち、長期政権となった。


 10年後。ある町の若者は、仲間たちに語った。「犯罪で得られるメリットの方が、捕まるリスクよりも遥かに多い。さあ、この麻薬を運んで金を稼ぐぞ」と。モラルハザードが国を覆い、国家は大混乱に陥ったのだ。その被害総額は、セーフティネットを張り巡らし、全ての国民に対して一定水準以上の教育や投資を施したケースと比較した場合、ゆうに1000倍の負債となっていた。


 一方、ある外国の国ではシングルマザーが公的なセーフティネットを受けながら書いた小説が大ヒット。その経済効果は100兆円を突破し、政府は公的なセーフティネットで支払った金額と比較し、2000倍の効果を得ることとなったのだ。

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