BRAVE HEARTS
刹那翼
第1章 動き出す運命
優等生と落第生 6/20
ー俺はこの学園内で、最弱だったー
現代、未だに淀みなく加速し続ける
ーーそれは魔法。バーチャル空間内で擬似的に魔法を使えるようになったのだ。
その電脳世界での戦いは、人を肉体的に傷付けずに済む。それにより、全国でプロやアマチュアのゲーマーだけでなく、多くのスポーツプレイヤーまでも巻き込んで行った。それだけでなく、
これは、魔装学園というトップクラスのVR技術を誇る学園生活での、数々の魔法による闘いの物語。
『生徒No.00013216
VRスポーツ実技テスト総合結果
456位/456人中
総合判定F 体力E- 速さE- 魔法力F』
「……はぁ、また最下位か」
携帯端末に映るのは、虚しい結果。この学校は、全国トップクラスのVRスポーツクラブを持つ学校、私立魔装学園高等学校。
魔装学園では、VR実技は必須科目となっている。この俺、大空正義は魔装高校出身というステータスの為に受験し、ギリギリ回し合格の権利を得て、今に至る。
それは良いものの、毎月ある実技結果はこれだ。見ていて嫌になる。
魔装学園では、VRスポーツだけでなく、VR技術、つまりは電脳世界の整備やデータ構築を専門としている。俺はこちらを専攻しているのだが、 こちらと定期テストなどの筆記試験の成績はまずまずなので、なんとか生きて来られた。
生きて来られた、というのも、全ての成績を加味して、各学年で毎月最下位の者から三名ずつ退学になる。つまり、卒業までに約90名(春休み、夏休み、冬休みの間は例外で退学なし)が退学となる。先生からは、このままじゃお前、卒業出来ないぞと告げられたほどだ。
だが、俺の将来にはVRスポーツ実技など必要ないのだ。魔装学園に入った、という事だけでも誇れる事で、何かに就職出来る手立てとしてもその名は使える。そう思って割り切っていた。
「大空、今日、
真霧
「おう、そうだな。行こう」
携帯端末の電源を切り、友人の元へ走る。自分の技術を磨くためにも、学年トップの試合を見るべきだと思い、決闘を見る事が出来る巨大スクリーンのあるVRリクリエーションルームに向かう。ここに、バーチャル空間に潜る事が出来る機械、
「ったく、なんで居ねえんだよ……」
「今日体調不良なんだって。寮で寝込んでるんだってさ」
「なんでこんな日に限って……」
試合会場のVRレクリエーションルームは
どうやら、冷姫のチームメイトが休みらしい。それで試合が始まらないだとか。
「決闘と言っても、成績は関係無い模擬戦なんだし、誰でも良いよね?」
この場を取り仕切っている、少し赤色がかった髪のお
「君!試合に出て!」
呼ばれたのは、嫌な予感通り、俺。嘘だろ、嘘だと言ってくれ。嘘だと言ってくれよ、マイゴッドアンドゴッデス……。
…………神頼みは意味が無いと悟ったので、なんとか恥をかくのを避けるため、なんとかして相手を説得する。
「いや、俺、実技最下位っすよ!
「私?私は
特待生はまだしも、学園四天王のうちの一人が模擬戦に入って良いなら、そうするけど」
この学園には、大きく分けて二つの分類が存在する。まず俺が属する
「え、あの、その、握手して下さい!」
「良いよー」
学園第3席の女性は、とても綺麗な優しそうな人だった。特待生の全学年合わせて、180人は、決闘の
「さ、握手したし、出てね?」
し、しまった。握手をした事で、断れなくなった。軽い気持ちで握手しなければ良かったと、今更後悔する。
「……あんたが俺のチームに臨時で入るのか」
不良っぽい銀髪男子に
「えーと、まずは自己紹介か。一年セイクリッド・ナイツ整備部門所属、大空正義。臨時でチームの一員となる事になったんだけど……まぁ、よろしく」
「整備部門なのに、ごめんね。私の名前は
髪の毛をお下げ括りにしている柔和な女子、鳳は学年10位以内に入る射撃の腕前を持つ。ライフルを持つと敵無しという噂が立っている程だ。
「俺は、冷姫氷牙だ。足手
左の前髪をピンで留めている、やや長髪で銀髪の美少年は、やはり冷姫。冷たい奴だ。
「じゃあ皆、持ち場に着いて」
VR空間に入る為の『BCP』の中に入る。そして、そこに示される8桁の生徒番号をキーボードに打ち込めば、VR世界に入ることを許可される。俺の場合、00013216。その生徒番号には、普段使用している魔法データなどが保存してあり、打ち込む事で、いつもVRでの決闘で使用する、プレイヤーアカウントが利用出来る。俺のは、基本いじってないからしょぼいけど。
VR空間に入ると、既に戦いまでの60秒カウントダウン(チームでお互いの一人目が入ってから、カウントダウンが始まる)が始まって、残り43秒を示していた。どうやら、俺が最後にVR空間にログインしたようだ。ランダムで選ばれる地形。今回のフィールドは比較的狭い森林フィールド。木と木の間が狭く、鳳が苦手そうな地形となっている。
「揃ったな。じゃあ、今回の作戦だ。俺が前衛、鳳が俺の援護。……大空は何が得意なんだ」
「いや、俺全く得意な事ないよ」
「なら、ひとまず動くな。良いな?」
それの方が気楽だ。俺は頷く。
「さぁ、配置につけ」
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