魔力大戦~magical world~
アッキー
覚醒魔力と魔神族
入学式
空は雲一つない青空。 風も強くなく、正に快晴と言える天気である。
道に二人の高校生らしき男子が歩いている。
「それで再度封印出来なかったのは、一番強い女神族が少なかったからだろ? なんで女神族はこんなに少ないんだ?」
「前にウイルスが蔓延した時に女神族が多く死んでしまったらしいよ」
「ふーん……まぁ中学校は人間しかいなかったけど高校には妖精族位はいるのかね」
そう言いながら男子は頭の後ろで手を組んだ。
現在結界内に住んでいる種族は三種族。
人類、妖精族、そして女神族である。
古の戦いで最も力を持ち、魔神族を封印まで追い込んだ女神族は魔神族が封印間際に残したウイルスによって大きく数を減らしていた。
よって復活を果たした魔神族を抑えることが出来ず、こうして結界内で暮らしているのである。
「さあどうだろうね……。 妖精族も数が少ないから。 それより遊真、少しは魔力を上手く使えるようになったの?」
遊真と呼ばれた少年は少し不機嫌そうに答えた。
「当たり前だろ。 寧ろ更に魔力を磨く為にこの高校にしたって言っても過言じゃない」
「まぁそうか。 僕達がこれから行くところは魔力ランキングの成績上位者ばっかりが集まる高校だもんね。 成績何位まで入れたんだっけ?」
「百だよ。 俺は二十五位だったけど」
「あ、遊真そんなに高かった?」
遊真は少しため息を吐いた。
「翔一……友達の順位位は覚えておいてくれよ……」
翔一と呼ばれた少年は笑いながら答えた。
「ごめんごめん。 最近忙しくてさ」
「そういえば今期は翔一が一位だったもんな。 二位に成績二倍で勝ったんだっけ?」
「いや、三倍だったかな」
「……へぇ」
そうして話している内に目的地に到着した。
「着いたな」
今日から遊真達が通う学校は魔力を鍛える学校。
つまり戦う為のスキルや戦闘技術を鍛える学校の様なものである。
魔力とはどの種族の誰しもが扱えるものであるが個人差が大きい。
また一人一人固有の魔力を有する者もいる。
現在は中学校卒業時に魔力測定が行われ、その種族内でかつ同期の中でのランキングが発表される。
成績上位者は遊真達の様に魔力の専門学校に通うことが可能となる。
そしてこの学校の目的は当然魔神族に対抗できる魔力を持つ者の育成である。
思い出した様に遊真が口を開いた。
「そういえば翔一は称号か何か貰ったのか?」
「ん~? まぁ一応人類内で五位だったからね。 幹部の称号を貰ったよ」
遊真はポカンと口を開けた。
「幹部って王の次の称号だろ? しかもその称号を持つ人類って4人しか居ないんだろ?
何か俺なんかが一緒にいるのが場違いに思えて来たぞ……」
翔一は遊真の方を向いて笑いながら言った。
「そんな事無いよ。 魔力自体は遊真の方が先に使えるようになったでしょ?
魔力は使えるようになって、そのあと急激に強くなる二段階なんだ。
遊真はまだ二段階目がまだ来てないでしょ? 二段階目はある程度才能もからむけど」
ポンと翔一は遊真の肩に手を乗せた。
「遊真は覚醒出来る。 僕はそう思う」
翔一は笑顔で自信満々でそう言った。
「……サンキュ」
遊真はそう言って微笑んだ。
その後二人は受付にあらかじめ受け取った生徒手帳を見せ、教室に向かっていた。
「ここだね、教室は……」
そう言って翔一が教室に入ろうとしたら下を向いて出てきた男の子にぶつかってしまった。 男の子の髪の毛は緑色で遊真は一目で妖精族の者だと判断した。
人類よりも一般的に強いと言われる妖精族。
遊真は先程から廊下ですれ違う者達の魔力を感じ取っていたが、明らかに他の生徒とはこの男の子は違う。
(と言っても流石に翔一ほどじゃないか……?)
「あ、すみません」
「あ、いえいえ大丈夫です」
そう言って男の子は去ってしまった。 すると直ぐに一人の赤髪の女の子が翔一に頭を下げた。
「すみません。 私のお兄ちゃんが……」
女の子は何度も頭を下げている。
(兄妹なのか……)
遊真はそう思った。
何となくだが魔力の感じも似ている。
責任を感じているのか女の子は翔一にまだ頭を下げていた。
「最近ぼーっとしている事が多くて……。 今度から気をつける様に言っておきますね。 では」
そう言って女の子もさっきの男の子を追いかける様に走っていった。
しかし翔一は教室の前で立ち止まり、暗い表情をしている。
「どした? 翔一?」
遊真は心配そうに話かけた。
「……まさか恋に落ちたとか言うなよ?」
「いや、確かに可愛いかったけど問題はそこじゃない」
「可愛いって言っちゃうと説得力がないけど……。 じゃあ他に何か問題が?」
翔一は下を向き、少し不安そうに答えた。
「あぁ、あの二人は妖精族。 それは遊真にも分かったと思うけどね。
あの二人は……僕より強い」
「……は!?」
遊真は驚きのあまり絶句した。
「もー! 待ってよ! お兄ちゃん!」
「ん? あぁ……」
「もー! いくら仕事で疲れてるからって人にぶつかっちゃったら駄目でしょ!
さっきの人今期人類内トップの人だよ?
これから顔を合わすことも多くなるだろうし、今から愛想よくしとかないと駄目だよ!」
「あぁ確かに強い魔力を感じたな 」
そして鼻で笑うと窓の外を眺めた。
「まぁ俺よりではないが……」
「そりゃそうでしょ! 第一いくらこの学校が精鋭揃いでも妖精王に勝てる人なんていないってば」
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