無所属――Suika・Free Announcer
「さぁーて、いよいよ始まります。日本スイカ割り選手権、猫本県大会決勝戦です! 実況は私、スイカです。解説として今回はメロンさんにお越しいただきました! よろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
「メロンさんは、メロン割選手権元日本代表、のちに後進の指導と、ラジオでの解説活動を行っています」
「よろしくお願いいします。そう言えば、スイカさんとご一緒するのは初めてですよね」
「そうですね」
「スイカさんがフリーになる前から面識はあったので、初めてという感じがしませんね」
「そうなんですよ。改めましてよろしくお願いいたします。おっと、選手が入場するようです」
『赤コーナーァァ! 黒玉スイカーぁぁぁっ!!』
ワアァァァッッ!!
「デカい!! クロい!! 文句なぁーし!! なんと言う存在感! 覇者の風格、今年はパワープレイで優勝を狙います。さて、赤コーナーからは、黒玉スイカ選手です。メロンさん、前年度の優勝者でもある黒玉選手ですが、今年は二連覇がかかっていますね」
「そうですね。黒玉選手はやはり圧倒的な筋肉量が武器ですよね。あの身体、たゆまぬ訓練と才能、二つがあって初めて実現します」
ナイスバルクーっ!!
キレてる、キレてるよーーッ!!
「会場からの声援も大きい!! 黒玉選手の活躍に期待です」
『青コーナーァァ! 長形スイカーぁぁぁっ!!』
ワアァァァッッ!!
「長い!! 長ぁーい!!! 前年度の覇者に挑戦するのは、長形スイカ選手だぁーッ!! 今大会のダークホース、彼が決勝の舞台を踏むとは、誰が予想したでしょうか! メロンさん!」
「いやぁ、まったくの無名の選手でしたが、彼は上手いですね。ややパワーに劣っていますが、兎に角上手い。彼の脳天割チョップはまるで消えるようにガードをくぐりぬけますからね」
キャー、長形さーん!!
ステキー!!
「女性のファンからの黄色い声援が飛んでいます! さて、メロンさん。この戦い、どう見ますか」
「そうですね、経験、パワーから言っても黒玉選手が優勢でしょう。しかし、長形選手にも勝ち目はあります。黒玉選手はメンタルにやや不安を残していますからね、長引いて焦れば焦るほど、長形選手が有利になって行くでしょう」
「黒玉選手のパワーが勝るか、長形選手が粘るかッ!! 勝利の女神はどちらに微笑むのか!」
「ここでいったCMです。ここまでのお相手は『SF』、スイカ・フリーアナウンサー、スイカでお送りいたしました」
***
「何だこの番組……」
俺はそっとラジオの電源を切った。
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