ふたつ色の眺め
結局、
僕は、自分の独白しか持っていない。
手に手を取るための言葉を交わそうと努力してきた。
でも、自分の独白しか持っていない。
誰かの気になるよう、こうやって、自分の世界を表現している。
次は、ニコニコ動画。
実況動画を眺めている。
ある時、「辛い時に見る動画」だったか、そんなものを見つけた。
静止画に、音楽と、コメントが流れている。
音楽は、僕が知っているアーティストなどの曲で、「情報として」聴いたことのあるもので、耳馴染みであった。
耳馴染みな心地良さの中に、そこにコメントが流れている。
下流へと行き着き、流れつくように。
匿名性を帯びた短い独白。それを慰めるコメント。心知らずなコメント。
辛い気持ちが切々とざわめいている。溢れている。
重たい、重さで渦巻く想いに、僕は特別なことを眺めている気になった。
僕の独白もそこに打ち込もうかと思った。
でも、ためらった。
何故だか、それを眺めているだけの視点で十分に思った。
誰かが、誰かのコメントに、
誰かが、誰かの辛さに、手を宛て、コメントする。
「現実に居ない」誰かが、「画面越しに居る」誰かが、送っている。
その誰かの人生を感じた。
それを確認できただけで、十分だった。
最近、グレー色の服を着ている。
はっきりとしない色。色がないと云ってもいい。
もしかしたら、あの動画、同じ色で溢れていたのかな?
でも、確かに、誰かのコメントに、画面越しの誰かが、確認できた。
それは、色の上に、色を重ねてくれたのかな?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます