4-2 寄り道特訓

「よし! 皆んなそったことだし、ウィンシティまで出発だ!」


「「「「「おーー!!」」」」」


 真理守の出発の言葉に、集合した全員で掛け声を上げる。


~~~優しい草原~~~


「くらえ!」


 魔理守は、出会した【ヒッカキザル】を倒さないよう加減しながら蹴り飛ばす。


 ヒッカキザルは「キィッ」悲鳴をあげて宙を舞う。


 そしてサルは、「キィーーー!!」泣き叫びながら逃げていく。


「まりりん、そろそろやめない?」


「ん? なんで?」


 あおりんの心配を何がまずいのか彼は疑問に感じる。


 魔理守は、今蹴り飛ばしていたサルを合わせて5匹。詳しく言うとヒッカキザル2匹。【カミツキザル】というサルのモンスターを2匹。【ダゲキサル】というのを2匹。倒さない程度に攻撃をしていた。


「あおりん落ち着けよ! ありがとな魔理守!」


 勝利は、魔理守の行動に対して礼を言う。


 SWは、敵を倒した分経験値を貰える訳ではなく、敵を倒すのにどれだけ貢献したかによって経験値が貰える。


 さらに、SWはもう1つの現実としてのゲーム世界であるので、出現するモンスターもリアリティをかなり再現している。


 そして、さっきのサルのモンスターは群れで生活している。魔理守は、5匹のサルを倒さないように攻撃した。つまり……


「ウキー!!」「ウキッキーー!!」「ウッキーウキキー!!」


 魔理守に攻撃された5匹のサルは、それぞれ自分の群を引き連れて彼らの所へ仕返しにきた。全体で60匹以上はいる。


「よっしゃ! こいつらと戦えば俺の経験値がたくさん稼げるぜ!」


 勝利は嬉しそうに群れへ回し蹴りをする。サル達は「ウキー」と叫びながら飛ばされる。


 しかし、数が多い為他のサル達が勝利に襲いかかる。


 それを、あおりんが二丁拳銃で連射し撃ち抜く。


 3匹ほど、頭に当たったサルはHPに関係なく倒され消滅する。


 SWは、頭や心臓をやられたり、体の大部分を破損したりなどの現実で確実に死亡する状態になった場合、HP関係無しに死亡する。デスヒットと言われているものだ。


「グハハハ!! 俺も経験値を稼がせて貰うぞ! ポニーテールの凄さと言うものをこのポニーテールでない猿共に叩きつけてやろう!!」


 ポニーは、よくわからないことを言いながら鬼火を掌に出して、それを投げつける。


 ドガンッと音を立て、猿達は吹き飛ぶ。


 だが、猿達はそれなりにレベルがあるので一撃では倒せない。


 最初に魔理守が加減して攻撃してきた5匹の猿はレベルが2や3だったが、群れを引き連れてきた事で下っ端だけでレベル5~7の猿も加わっている。


 魔理守達パーティのメンバーは、1対1の勝負なら敵の最高レベルであるレベル10のボス猿をそれぞれ瞬殺とはいかなくても倒す事は可能である。


 だが、ボス猿は5匹、レベル9が2匹で10が3匹いる。因みに、その3匹は偶然なのかそれぞれ別種の猿。


 あおりんが3匹をデスヒットしたとは言え、それ以外はまだ1匹も倒せていない。


「なぁ、ポニー! どっちが多く猿達を倒せるか競争しようぜ!」


 勝利は、魔理守が思いつき実現させたこんな絶望的な状況で永遠のライバルであるポニーと勝負を申し込む。


「ふん、良いだろう! だが、お前より俺は早くこの世界に来ている。ハンデつけてやろうか?」


 ゴゴゴゴという効果音が聞こえそうな笑み浮を浮かべる。


「ハンデなんていらねぇよ! その上でお前に勝つ!」


「グハハハ!! 流石勝利だ! 面白い!!」


「「勝負」」


 彼ら2人は、猿の連合軍相手に攻撃を繰り出した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る