1-3 落ち込む小悪魔と笑う少女

「あぁ……結果こうなるのか」


 ついに夢にまで見た念願の、SWセカンド・ワールドに入ることが可能になり、望んでいた種族になることが出来た真理守。だが、望んでいた姿と違っていることに少なからず落ち込んでいる。


「まぁ、何かこの黒い感じは良いんだが現実とあまり変わんないこの身長、おまけに小悪魔感が引き立って可愛くなってる……


 彼は頭を抱え、嘆きがが止まらない用だ。


 しかも、追い討ちをかけるように、


「おーい、まりりん。葵だよ~」


 前々からSWセカンド・ワールドで一緒に冒険する約束をしていた幼馴染の【花色 葵】(はないろ あおい)が声をかけてくる。


「ゲッッ」


 会うことはわかっていたが心の準備ができていない真理守。それを彼女はいつも通りの感じで、


「あっ、まりりんかわいいやっぱり悪魔か~」


 真理守にのみ邪神の一撃のごとく恐ろしい一言を放つ。


「ぐっ……」

[やべぇ、泣きたい]


 わかってはいたが落ち込む真理守。そんな彼にあえて気にしない葵は、


「あっまりりんここでは、SWNセカンド・ワールド・ネーム呼んでね! 私はあおりんだよ~! そ・れ・と・も〜あおちゃんって呼ぶ?」


 かわいらしい笑顔で葵、もとい【あおりん】が問う。


「あおりんで良いです」


 彼はすかさず答えた。


「つーか、あお……りんは何でまりりん何だ? 俺の名前見ろ!」


 真理守は文句を言ってみた。


「あっ、真しんが魔法の(ま)だ。でも、現実でも同じ・ま・り・す・だから大丈夫だよ。」


 だからどうしたと言わんばかりにあおりんが答える。


「いやいや、そういう事じゃなくて、その女みたいな可愛らしい名前で呼ぶのは……」


「男の子がそんな事気にしたらかっこ悪いよ~」


 真理守、もとい魔理守が必死に抵抗するが、あおりんが笑顔で返してた。


「そんな事言われましてもだな……」

[あっかわいい……って何考えてるんだ、俺!]


 なんとか照れる気持ちを押し殺し、平常心を保とうとする魔理守。


「それでまりりん、レベル上げどうする?行く?」


「ああ、行く!!」


 ケロッと楽しみにしていたレベル上げを出来ると喜ぶ魔理守。


〜〜〜始まりの森〜〜〜


 最初にいた町【始まりの村を】出て森へ行った二人。


「何でここなんだ?獣の森や、力の草原とかじゃねぇの?」


 知ってはいるが、ノリであおりんに聞いてみた。


「速攻でやられるよ~獣の森は熊や蛇いるし、今のまりりんじゃあのリスとハムスターに瞬殺だし、奥までいったら、パラディンドックいるし、パラウルフ来たら、絶望だよ~!」


 魔理守は、分かってはいたが、言いたい放題言われている。


「力の草原なんか行ったら、フルボッコにな……」


「了解わかった。ここで良いです」


 魔理守はあおりんの口を抑えた。


 そうこうしていると、二人の前に二匹のモンスターが現れた。


「こいつは確か、【キャンディーボール】ってやつか! レベルは1と2か。よし倒すか」


 魔理守は嬉しそうに言う。


「やられ掛けたら私も参戦するね」


「じゃ出番はないな、俺が倒すから」


 魔理守は、あおりんとの会話を終わらせ、腹に力を入れる。


「さぁ、俺のデビュー戦だ!!」


 魔理守は気分良く大声で言い放った。

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