第8話
本当に有った。南三陸の防災庁舎が、俺の知っている姿でそこにあった。周囲が盛り土されていて防災庁舎だけ低くなっている辺り、復興後の南三陸がこの世界にあるということか。
どういう意味なのか、俺は考える。前の世界で平穏だった地域と、被災地の逆転。妙に災害の被害が少なかったこと。そして、一ノ瀬さんの言葉。「何が有っても平穏に過ごす義務が、この世界の人達にはある」とか「あなたはもともとこの世界の神だった」とか言ってたっけ。
「あ。」
俺は前の世界で、いろんなことを願っていた。三陸とか熊本とかが早く復興して欲しい。災害が来ないで欲しい。来たとしても自分は死にたくない。苦しみたくない。この世界はそんな感情の終着点なのかもしれない。
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