第3話 魔法少女にどうしてもなりたいの!!!


 私、『小見山まこ』の誕生日は9月1日。

 あと数ヶ月で20才になってしまう。


「別に10代にこだわる必要はないんじゃね?」


 目の前に座るミーアキャットもどきのマスコットが面倒くさそうにつぶやいた。


「魔法『少女』なのよ! 10代じゃないとダメにきまってるでしょ!!!」

「いや、契約すれば年は関係ないんだけど」

「ココロの問題なのよ。ココロの!」


 だから私はどうしても魔法少女にならなければいけない。その為にはなんだったする。


「そういえばキミの使っているブラウザは変わってるね。IEでもないしfirefoxでもない、Chromeでもなければoperaでもない。はて?」


 ミーアキャットもどきがわざとらしく首を傾げる。本当は何もかもわかっているのではないかと、私は勘ぐってしまう。


「○○○Browserよ。これを使えばどこからアクセスしているか隠して匿名化できるの」

「へぇー、なんに使うんだ?」


 さらにわざとらしく某読みのような口調で私に顔を近づけてくる。


「あなたは私を魔法少女にするためのサポーターなんでしょ。だったら私が何をしようが関知しないで欲しいわね」

「そうだな。キミがアカウントを不正に入手しようが、ボクは知ったことじゃない」


 やはりすべてお見通しだったか。それでも私の不正を止めようとしないということは、黙認するということだろう。


「登録はメアドだけだし、与える者ヨミセン参加にすればいくらでも取得が可能なんだよね」

「そうだね。穴だらけのシステムだね。うわぁーたいへんだ」

「全然大変そうに聞こえないけど」

「好きにすれば良いさ」

「うふふ。これでスター集めは私が一番よ」


 先ほどからキーを叩いたり、マウスを動かしたり、それを延々何時間も繰り返している。その成果もあってかスターは1000を超えた。


「あはははは。私が一番よ。私が最初に魔法少女になるのよ」

「ご機嫌だね」

「だって、これで夢が叶うのよ」

 私はダメ押しの意味も込めて、335人目の不正アカウントを使って自分の作品パトススターを三つ付ける。

 その瞬間、PCが固まったかのようにマウスのクリックを受け付けなくなる。

「あれ?」

 とりあえずタスクマネージャを起動させてブラウザを終了し再起動。マイページへと行くが、そこには真っ白なページに次の文字列が表示されるだけ。


Not Found


「あれ? あれ?」

 ページを再読み込みしても、その文字列は変わらない。


「アカウントを凍結されたな」

「え? なんでよ。黙認してくれるんじゃないの!?」

「ボクは何もしてないさ。けど、システムの方で弾いたんだろう。匿名化されたアドレスから大量のスターが付けられたんだから」

「……なんで言ってくれないの?」

「キミは『私が何をしようが関知しないで欲しいわね』と言ったじゃないか」

「言ったけど……きっぃぃぃぃぃぃ!!!! なんでダメなのよ!」


 私の怒りの鉄拳はミーアキャットもどきを捉えきれず、その下にあったノートPCを破壊した。


「やれやれ。もっと巧くやっている連中もいるというのに」




(続くかどうかなんてわかんないよ)

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