第88話 シェア精神
家族で外食に行ったとき、皆さんはどうされてます?
私の育った家では、全員がかぶらないように違うメニューを頼み、食べるときに順番にまわして食べるというのが普通でしたけれども。(いろんなメニューが同時に味わえる)
そういう感覚が普通でして、家族とか恋人とか夫婦とかならそうするのに抵抗を覚える人なんていないのだろうと私は思っていました。
しかし、船にいたときの話ですが。
乗り合わせた新婚のスチュワードの先輩が。
『この前外食したとき、奥さんにご飯半分こずつにしない? て言われてすっごく腹が立った。自分の物は自分で全部食べたい。人にあげたくない』
と、そういうお怒りの言葉をお酒の席で吐いていたのを聞いて、たまげました。
嫌な人もいるんだ!
それが愛する奥さんとか、恋人や子供であっても!
そういう人、ていうのはいるでしょうね。
イメージ的に西洋人に多そう。個々の前に個人の頼んだメニューが置かれるのが通常だろうし。
中国料理は大皿を皆で選り分けて食べますよね。日本人は鍋をつつくし。だから、東洋人はあまり抵抗ないのではないかしら。
主人の育った家は、基本自分の選んだメニューは自分だけのものであるから自分だけで食べる、という家だったそうです。それで付き合った当初から私とメニューをシェアするのを受け入れてくれたのは感謝します。
シェアするしないに関わらず大好きな人と大好きなものを食べることは素晴らしいことですね。私はその瞬間に一番幸せを感じます。だって大好物をふたつも同時に味わえるんですよ。
『すきなもんが二つも目の前にあって嬉しいわ』過去にデート中、お気に入りの店のお気に入りメニューを食べるたびに主人に言った記憶があります――
(このへんがSKY WORLDのシャチに関係します……と、久々に宣伝)
さて。
――男の人、ってあまりシェアしないですよね。
以前、職場の男の先輩にそういう話をしたことがありました。
女性の友達同士ならよくメニューをシェアする光景を見かけますが、男性同士でそんな光景は見たことがないなあと思い。
先輩はこう答えてくれました。
――うん。男同士はね、しないよ。……だって想像して? 俺と、〇〇先生(男性)がご飯いっしょに食べてて、『うわあー、〇〇、それ美味しそうだなあ。ちょっとちょうだい?』とか、『〇〇先生、それ美味しそうっすね。ちょっと俺のと交換しませんか?』……って言ってるの、ヘンでしょ?
……うん。なんか少しヘンですね。違和感を感じます。
女性同士なら違和感を感じないのになあ。
その後ね、しばらくしてから男性同士がメニューをシェアしてる光景を目撃したんですよ。
場所は新宿歌舞伎町。
軽食が出る喫茶店の中に私が入ったとき。隣に座った男性二人が仲良く、ワンプレートのごはんを食べていて。
そのうちの一人の方がヨーロッパ系の外国人のお兄さんでしたんで。
へえ、外国の男性はシェア精神に抵抗がないのかなあ、と思っておりましたら。
……その後のお二人の雰囲気で、恋人同士だと理解しました。
(外国人の方も、日本人の方も美形。美形の方が多いですよね)
やっぱり。シェアして美味しくごはんを味わうのは恋人同士の特権。
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