第84話 家庭訪問
長男の家庭訪問がこの前ありました。
ちょうど下船中の主人が家にいるので、私は普段通り仕事に行って主人に頼むことにしました。
帰宅して、聞いてみましたら。
――どうやった?
――うん。給食が足りなそうなことを言っといた。明日から大盛りにしてくれるそう。反対に減らしてほしい、てたのむ子供の方が多いらしいよ。
長男は小学校から帰宅するなり、いつもおなかがすいた、と連発。保育所の方がおかわりできて良かった、と毎日ぶつぶつ言っていたのです。
――それから、なんと、食事開始10分間、ちゃんと黙ってるんだってよ。
意外でした!
でも他の子たちも黙ってたら、ウチの子も見習ってそうするかもしれへんな。
――あとは?
――明るくて元気な子ですね、と。あと、授業中、調子にのってきたら無意識で鼻歌を歌うそう。先生が『聞こえてるよ』ていったら、黙るそうだけど。
……許容範囲、かな?
ーーあと、悔し泣きをよくするって言ってた。すぐにけろりとして、後腐れはないそうだけれど。
昔の私、そっくり。
――応接間にきてもらったん?
――うん。正面に座ろうと思ったんだけど。90度で隣に座った。
――なんで?
初対面でコミュニケーションをとるには90度が一番いいとは聞いたことがありますけど。
――先生にも、え? て反応されたけど。……いやなんか、パンツ見えそうだったからさあ。
応接間のソファーはやわらかく、深くお尻が沈み込みます。(先生は私たちと同年代の女性。スカート着用)
――せやなあ。あのソファーやったら見えるかもしれへんなあ。
――まあ、ちゃんと膝はずっと閉じたままだったけど。
――じゃあ、ええやん。心配することなかったやん。
――……『開かない扉はない』んだよ、〇〇。
――……何それ? 誰が言った言葉?
――俺。
かっこいいことを言ったつもりなんでしょうか。
使う場面を考えれば、かっこよくはなりそう。
――……なんか使えそうな場面があったら、小説で使わせてもらうわ。
――……先生、胸大きいよ。胸大きい人は、シャツのボタン閉じてても盛り上がってるからさあ、シャツの合わせ目のところあいてるじゃん。ひろがるじゃん。エロいよね。
ウチの身体ではとうていなりえへん光景やな。
――〇〇と保育園の先生と、保育園のママぐらいしか今、話さないからさあ。……なんか俺、女と話してる、てドキドキした。
大丈夫ですか!?
やっぱり船乗りだからか?
いやいや、世のパパさん方も家庭訪問で二人っきりで女性の先生と話してたらドギマギするのでしょうか。
――……やっぱり……終始、胸と膝が気になって、目が行った。
どれだけ飢えてんねん……。
……先生、申し訳ありませんでした。
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