第28話 保育所事情2

 さて、希望する保育所の入所がキビシイと分かった私は、職場付近の保育所を探し始めました。

 住所地とは違う、東京大田区。

 そっちの保育所事情はどうなんでしょうか。


 いくつか回った結果は、またもや厳しいものでした。三歳から入所というのは、ほぼ不可能でした。いくらか空きはありますが、それはやはり大田区に住むご家庭が優先されるだろうと。

 保育所に確実に入ろうとするならば、一歳には入所しないといけません。とのお言葉。

 皆さんもご存知の、家庭状況の基準点数が高い方の家庭が優先されるわけですが、その当時は『両親とも一日8時間以上の仕事に現在就いていて、なおかつお互いの祖父母は市外に住んでいる』という基準をこなしてやっとスタート地点でした。それ以下は、話にならないというレベルでございました。

 シングルマザー、シングルファザーは特に優先されるため、本当か嘘か保育所に入るために夫婦が離婚するお話とか聞きましたよね。

 私はそのとき、まだ内定をもらってませんでした。(実際、もらったの二月でした。遅すぎる&ひどすぎますね)

 就職予定者、まだ内定がないとなるとかなり点数が低い。望み薄でした。


 さて、横浜市と大田区の保育所を調べて分かったのですが、この家庭状況をあらわす基準、それぞれ全く違うのです。驚きました。

 例えば横浜は、お仕事ママと学生ママの点数には天と地程の差がありましたが、(金払って勉強しに行くぐらいなら、保育所に預けるな、ということかな。生活がかかってる家庭を優先するということですね)大田区は、お仕事ママ、学生ママは同等扱いでした。(おお!それは、ありがたい! 理由はどうあれ、時間の制約はどっちも同じですしね)

 また、横浜は、単身赴任の家庭には一点という点数がつきました。(私は単身赴任の家庭と同等とみなされ、この一点が勝敗を分けたのではと思っています)

 しかし、大田区にはそれがない。区役所のお姉さんに私の唯一の武器となるその点を確認してみましたら、


『そういうのは、配偶者が抑留、拘束以外には点数はありません』


 と、言われてしまいました。

 抑留、拘束、ですか。なるほど。


 自治体によって、全然違うのですねえ。


 大田区はもう無理だと思いました。

 私は横浜市の保育所にかけることにしました。

 とはいっても、土曜日に遅くまで預かってくれる二つしかない保育所のどちらかにはいらなければ、内定もらったとしても辞退しなければならない結果になります。

 一つは近隣にありますが今空きはゼロ、もう一つは遠方。


 私は、園児が転園するなどの奇跡を信じて、近隣ゼロ枠保育所を第一希望。

 通勤が大変になりますが、遠方の保育所を第二希望として入所希望届けを出しました。


 区役所の方との面談では、主人は船乗りでほとんど子供と二人きりの生活だということを強調。また、『まだ内定はもらってませんが、100%その職場に雇用されるのは確実、ですから』と自信満々にハッタリもかましました。(就職の方も自信がなかったのですが。子持ちということで不利なのではと。まあでも、ダメだったと分かれば保育所入所を辞退すればいい話ですしね)


 そして、三月、運命の日を迎えました。

 マンションに、区役所から通知がとどきました。

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