第21話 喧嘩
私は喧嘩が苦手です。
夫婦の喧嘩といえば、基本は口げんかだと思いますが苦手です。
苦手というか、私はすぐケツを割ります。
女性は口げんかが得意、とよく聞きますが私はだめです。
あんなに口が回らない。言葉がポンポン飛び出しません。
私は『男性脳』であるらしいです。以前心理テスト? みたいなものをしたらそういう結果が出ました。
(でも、全く私は理論的ではないのでどうかなあ、と思っていますが)
主人と口げんかになったら、あ、もういいや、負けるわ、と思ってこっちから謝ります。
はいはい、ゴメン、ゴメン、一旦ゴメン、みたいな感じで。
その私の態度は向こうからみると、更に苛立たせるようですが。
めんどうくさい、と思ってしまいます。話し合いが嫌です。できるだけしたくない。
(良くない傾向ですね)
あと、主人が下船している今だけの我慢だ、と思うところも大きいです。
まあ、後一週間すりゃ船に乗るし我慢するか、と。
そう思うとなにもかもが寛大になれます。
世の陸の奥様は、これがないですもんね。
毎日、旦那様が帰ってくるのですから、それは意見を押し通して優位に立ちませんとね!
ちなみに主人は、女性脳であるらしいです。(でも、理論的。口げんかで理論的に攻められるので私は音をあげます)
男性脳☓男性脳、女性脳☓女性脳 同士より、やはり男性脳☓女性脳のペアの方が、バランスがとれて相性がよろしいそうです。
主人が私とは違うタイプでよかったなあ、と思うことは多々あります。
私が書いている『SKY WORLD』で出てくるキースとターニャがキッチンで争うシーン、あれは主人と私です。(はい、宣伝でました)
主人は細かい、丁寧、そして整理上手。
私は整理が大嫌い。だから、できるだけ物を持ちたくない。
物があふれているのを見ると、イライラします。
物欲がないんですよね。それは子供の時からで親におもちゃや雑貨を買ってあげようか、と言われても断っていました。
私が化粧品やマニキュア、アクセサリーを全く持っていないのは整理ができないからです!
(なぜ皆さんあんなふうにきっちり収納できるのでしょう。ドレッサーの引き出しにずらーっと綺麗に)
服も靴も時計もできるだけ持ちたくない。買いたくない。最小限がいい。クローゼットの中をガラガラにしたい。
(だから、昔も今も制服を着る仕事で、家から制服で出勤します)
雑貨の類は一切ありません。
(女性でかわいい雑貨を買い集める方いますよね? すみません。私がその方のご主人なら速攻ゴミ箱に捨てます。ゴミにしかならねーじゃねーか! と)
教科書や参考書が山積みなのにウンザリし、国家試験三か月前に全部捨てました。(合格はしましたよ!)
このへんの性格が「SKY WORLD」のシアンに現われています。(と、宣伝)
主人は違うんですよ。
いえ、船乗りなんで陸の人に比べると持ち物は少ないんですが。
服、靴、書類、趣味のモノ、子供のおもちゃとか。綺麗にコンパクトに収めます。
すぐ取り出せるように、分かりやすく。
大人として当然のことなのだろうと思いますが、すごいなあ、と素直に尊敬します。
(このへんがシアンとキースに……いえ、いい加減しつこいですね。宣伝はもうやめておきます)
ですので、主人が子供の写真とか、おもちゃとか、整理してくれる姿を見て心底ありがたいなあ、と思います。子供の写真やおもちゃは知らず知らずのうちに増えて、えらいことになってます。最小限を心がけているつもりなのですが。
家事に関しても主人はきっちり、しっかり。私は息がつまります。いや、主人のやり方の方がいいんだろうとは思いますよ。
洗濯物は必ず間隔を空けて、干す!(……ベランダ、風通しいいから、いい天気ならくっつけて干してもしっかり乾くんですぜ)
お風呂は入り終わったら残り湯ですぐ洗濯をして栓を抜いて、夜のうちに掃除を終わらせる!(カビが生えなくて素晴らしいですね)
掃除機は毎日かける! (子供が小さいときは、私もそうしていましたが)
ご飯を食べる前にテーブルを一度拭く!
……あれ? 当然でしょ、と思われた方いますよね。違うんですよ。そういうご家庭に育った方はそれが当然かと思われるでしょうが、テーブルを拭くのは食後だけ、という家庭もあるんですよ。私はそういう家庭で育ったので、食前にテーブルを拭く意味が理解できませんでした。主人に聞いて、「ホコリがたまってるだろうから」との答えに、はあ? ホコリ? どんだけ汚い家やねん、て思いましたけどね。(だって、飲食店でもそこまでしてないって……ブツブツ)
そんな主人ですが、私とは視点がちがうのか、主人の実家で飼っている長毛種犬の毛だらけの枕で平気で寝ていたりします。私には、ぎゃー、汚い! 子供をそこで寝やすな! てなりますけど、主人にとって、飼い犬の抜け毛は綺麗なもので汚くなんかないと。
こういう主人との感覚の差にイライラくるのですが、これも下船中の間だけと思えば我慢できます。
私とは違うことだらけの主人ですが、この間ものすごく価値観が一致して感動したことがありました。
それだけご紹介して終わります。
ペディキュアの話です。
私は化粧、マニキュア、ペディキュアを一切しません。ぺディキュアに関しては全く心が惹かれません。
何故かと申しますと、もし私が男性なら、女性の服を脱がせた後、あんな足が出てきたら(キラキラとかシマシマとかゴテゴテとか派手派手の爪)一気に萎えると思うからです。ヌードベージュとかヌードピンクならそそるなあと思いますが。反対に盛り上がる男性もいらっしゃいますでしょうけどね! 私の独自の意見です。(私のおしゃれの判断基準には、もし自分が男だったら、というわけのわからない目線が関係します)
主人にこの間、ペディキュアとかに興味ないの、と聞かれたとき上記のように私は答えました。
すると、主人が驚いたように目を見開いて答えました。
「……俺も、同じ」
おお、と二人で少し見つめあいました。
珍しく価値観が一致したと感じた瞬間でした。
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