パステル・ドール

ウスバカゲロウ

第0話昔話

キレイな人

ぼくはそう思った。

真っ白な和服の似合う、長くて黒い髪の、お姉さん。

けど、ツノが生えてるの。頭からニョキ、って。ぼくはオニみたいだなって思ったけど、そんなこと言ったら、お姉さんはきっと泣いちゃうから。だからぼくは、それをいわないことにした。

でもお姉さんは、僕がツノを見てた事に気づいて、変な顔でへにゃっ、って笑って

「コレね、病気なの」

そう言ってぼくに教えてくれた。

「ごめんね」

ぼくはあやまった。

だって、なんでか分からないけど、悪いことをしちゃったなって思ったから。悪いことをしたら、ごめんなさいするんだよって、お母さんが言ってたから。

だけどお姉さんは、ぼくの頭を優しく撫でて、困ったなぁって顔をする。

「謝るようなことじゃないよ、キミは悪くない。……しょーがないことなんだ、治るようなモノでもないし、ね」

ふわぁっ

風が吹いて、お姉さんから花のかおりがする。おひさまみたいに温かい、優しいかおり。

あれ?でも、何の花だっけ?

知ってるよ。知ってるんだ。

だけど、ナンデカナ。もう直ぐそこまで出かかってるのに。

「もう時間だね」

不意に声がして

……気がつくと、■■■■は居なかった。


ぼくは、ダレと話してたんだっけ?

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