第八幕『敵襲』
「宝石商人さんとその奥方様。今この瞬間から、この屋敷は金獅子海賊団が占拠した。命が欲しけりゃ大人しくしな!」
まだアイツら金獅子を名乗っているのか。懲りない奴らだ。ここは一発本気で伸してやらないと駄目だな。
「メーヴォ、お前旦那にこの事伝えろ。出来れば騒ぎまくって海軍提督様のお力をお借りしようぜ」
「なに言ってるんだ。此処でアイツ等を始末すれば事足りるだろう」
「落ち着けよ、ここは海軍提督の懐の中。そんでアイツらは俺たちの正体に気付いてない。お前が暴れるにはそのドレスじゃ困るだろ。男たち相手に淑女が大立ち回り出来るかっての」
確かにこの服では満足に戦えない。戦ってラースの足を引っ張るのだけは御免だ。
「俺の早撃ちならまず負けねぇし、騒ぎ立てて海軍の奴らに感づかせれば、こっちは海賊相手に奮闘した商人だ。さっさとずらかれる」
「……だったら今一緒に逃げればいい」
「お前が走ってく時間稼がなくちゃ何ねぇだろ。そのドレスじゃいつもみたいに走れねぇだろ」
「でも」
こそこそと話をしているウチに、偽金獅子が部下二人に銃を構えさせたまま、じわじわと距離を詰める。
「逃げなさい、パーヴォ!」
それを合図に背を押され、隠し持っていた銃を抜いたラースが素早く撃った。銃を構えていた男の一人が肩を撃たれて倒れ、打ち返して来た弾丸が近くの壷を割る。
「き、きゃああああ!誰かぁ!」
悲鳴の練習なんかしなかったぞクソ!棒読みにも程があるが、誰かに届けばいい。ラースを振り返る事も出来ず、女のようになんて走れず、ただ足元に絡むドレスが邪魔でイライラした。兎に角ホールへ戻ればディオニージ船長がいる。ついでに海軍提督がいるだろうからそれで助けを……。
ホールに差し掛かったところで、肩を掴まれるような感覚に足が止まった。
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