予測不可能ならば待機しかない

さて、その頃のユーマン御一行は…。



「"ウェルガーデン"、"トイ・ウェル"、"ウェルタウン"……。」


「ユーマン、どこから行こうか。」


マクシミリアンが顔を覗いてくる。


「…正直、いった先で『来たけどもういない』ってすかしっぺ食らうパターンが濃厚だ。」


「確かにあの性格じゃ、言いたいことを言ったらいなくなりそうだな。

……いつか見つけ出して、妻にする!」


「ダマレ、ロリコン!」


マサチカに透かさずダメ出しをする。

こいつら、俺に全部考えさせる気か。

一番付き合い長いが、アイツの行動を粗方把握してるのは、アイツの母ちゃんくらいだって!

…次にわかってんのは、うちのお袋。


「あー!クソ!マクシミリアン!戻ろう。わかんねぇもんはわかんねぇ。」


確実にわかるのは、この"ウェルゴールド"には『戻らない』ってことだ。


「きっと、俺やユーマンのいる国に帰ろうとはしてるはずだよね。」


普通に合わせてるが、絶対考えてねぇな。


「…はぁ。一番かえりやすい場所としての認識が"ウェルグランド"だからな。」


「え?!帰っちゃうの?!遠距離夫婦は寂しいなぁ…。」


「いつ結婚したよ?!ふざけてんのも大概にしろ!」


俺に怒鳴られた二人がしゅんとしてやがる。

何なんだよ!打たれ弱ぇな!

華凛なら食らいつくだろーが!

腐ったドMどもが!


「…ユーマンさんも、カリンさんがお好きなんですね。」


大人しくしていたチヨヒコがボソッと言った。

……え?何で…そうなるんだよ……。


「じゃぁ、仲間じゃないか。虚勢を張る必要なんかないよ。」


てめぇらと一緒にすんじゃねぇ!

その笑顔がムカつく!

赤くなった顔を隠すようにマクシミリアンの腕を掴む。

アンジェはにやにやしてやがるし、イレイスだけが困った顔をしていた。

おまえだけだよ、常識人は。


「クシュリナダたちを回収して戻るぞ。」


「おまえの方がリーダーのようだな、ユーマ。」


口開いてもニヤニヤ止めないのか。


「だ、大丈夫ですよ。ヤキモキするかもしれませんけどね。」


…そうなんだよな。

ホントは探し回りたいけど、空回りしかしないと思うし。

探してる間に戻ってて、時間の無駄かもしれない。

ここで無事だったなら、何処でも何とかなってそうだからな。

下手に動き回るより、華凛の帰還を待ちながら鍛練していた方が有意義かもしれない。

…マクシミリアンとマサチカがバカする前に。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る