脱出☆救出大作戦

「…ほら、あそこ。危険物いっぱいじゃん?」


ボクの目線の先には、昔は武器庫だったらしき場所。


「確か今は魔法が発展しいるからと、放置された場所です。

でも、弾薬に使う材料がこの『ウェルゴールド』ではあまり取れないのも理由みたいですよ。」


「あれ?金って、"オスミウム弾"作れなかったかな?」


「おいらにはそういうのわかりません。」


ちょっと専門的過ぎたか。

ま、アニメの知識なんだけど。


「じゃぁ、金ってチヨヒコにも簡単に手に入る?いっぱい。」


「それなら、合金あたりなら"廃棄場"に大量に捨てられてます。」


勿体ねぇなー。こっちの世界の企業が挙って回収したくなるだろうに。


「機材とか使える?」


「金の玉でも作るんですか?」


「そーそー、でっかい金のボール作りたいの。」


「錆び付いてるかもしれませんが、多分まだ動くと思いますよ。

近所のおじさんがやってたの見たことあります。

昔は"金砲玉"作ってましたから。」


「それはすごいな!」


多分、鉄砲玉の金ヴァージョンだな。


「かなり老朽化してますから、上手く型通りに出来ないかもしれませんけど。」


「いや、あれ使いたい。」


ボクが指差したのは、でっかい砲台。

「あれに入るボールができりゃいい。」


「わかりました。それくらいならおいらにも出来ます。」


「おお~!頼もしいぞ、チヨヒコ!

きっとそんな君のカッコよさにオハナちゃんもきゅんきゅんしちゃうこと請け合いだ!」


苦笑いするチヨヒコ。


「一個、試しに作ってみますね。」


そういうと手持ちの合金を入れ、機材に触れる。


『The Venus where I shine. I'm here. You don't give it to me.

(輝く金星よ。我、ここにあり。我に与えたまわん。)』


え?呪文?


…ごう…ん。


鈍い光と音がして、止む。


ゴロ…ゴン…ゴン…


機材から落ちてきたのは、手のひらサイズの"金の玉"。


「なにこれ、すげー!!」


「…あの、いつの間に入ったんですか?」


「さっき!」


現在ボクは、フィットサイズの"砲台"にIN!している。


「なんでまたそんなとこに…。」


「穴がボクを呼んでいたから!」


これぞ、ボク!


「…カリンさんって変わってますよね。」


「うん!よく言われる!」


一国、一回、一穴!今決めた!

入らないボクはボクじゃないよね!


「でさ、それ何なの?」


「え?初級の"錬金魔法"ですよ?」


「じゃぁ、チヨヒコは"呪術師"になるの?」


"呪術師"…。嫌な記憶しかない。


「はい!来年には軍に入って、実施訓練を始めます!」


「…チヨヒコ。出来れば、チヨヒコにはなってほしくないな。」


「ど、どうしてですか?」


チヨヒコ、ちょっと不機嫌だ。


「ボクはね?"井戸異世界"とは別の"異世界"から来たんだ。

最初に会ったのは、"ウェルグランド"の王子だった。

仲良くなって、たまたま戦闘風景を見させてもらえることになったんだけど…。」


チヨヒコは静かに聞いてくれている。

"敵異世界"とはわかっているだろうね。


「そこに"カイヅカ"ってゆー、生け簀かないおっさんと"呪術師"、"囚人"みたいな人が現れた。」


「カイヅカ大将…ですか。」


彼もいい顔をしていない。

好きではないんだろうな。


「…チヨヒコはこの国で、"禁忌の償還魔法"が研究されているのは知ってる?」


「"禁忌の償還魔法"?"生け贄"を使って償還する魔法、ですよね?

聞いたこと、ありません。何故、そのような………。

あれ?…"囚人"みたいな人…。そんな……。」


チヨヒコ、絶句。


「…うん、一緒にいた"呪術師"がその人を媒介に"実験"しにきたんだよ。

その人は……呻きながら死んだ。

そしたら、おっきくて真っ赤な"鬼"みたいな化け物が出てきたんだ。

マクシミリアンくん、向こうの王子ね。

を庇って、近衛隊長のバイザーにーさんがソイツにやられた…。」


「そんな…、そんな…!」


「これはボクの憶測でしかないけど、もしかしたらだよ?

完成するまで、かなりの人が犠牲者になるかもしれない。

囚人、罪人がいなくなったら、次は……国民を使うかもしれない。

それでも、君は……"呪術師"になりたいの?」


チヨヒコ、黙っちゃった。

うん、ちゃんと考えないといけないことだよね。

この国の兵士は、"勝利"="殺戮"になっている気がするよ。

戦争は殺し合いと言ったら、そうだと言えるけど。

そうはならない方法だってあるはずなんだ。


「…正直、カリンさんのお話を聞いたら怖くなりました。

でも、どうしたらいいかなんてボクにはわかりません。」


「…そーだよね。変えるにはキッカケが必要だ。

ま、ボクはそのカイヅカのおっさんに"戦利品"として誘拐されたんだ。」


「ゆ、誘拐ですか?!…でも、普通に出歩いてますよね?」


「『女が一人で逃げられるわけない。』とか何とか言いやがったのよ、あの"マサチカ"の兄ちゃん。

『井戸しか好きじゃない。』ってゆったら、いっぱいあるから好きに見に行けー的な?」


「…まぁ、確かにあの方なら言いそうです。」


頭来ちゃう!


「あ、戦って行くとどれくらいで帰ってくるの?」


「最低でも、半日は帰ってきませんよ。

一戦ではないですから。」


犠牲者がこの間にも増えてるわけか。

何か胸糞悪いな…。


「そっか。そうそう、建物の基盤は木だよね?」


「そうですよ。木に金箔を貼っています。」


ボクは自分の"イタヅラ"が確実に出来ると確信した。


「建物は"錬金魔法"じゃないんだね。」


「実際の量以上に使いますし、そこまで魔力を持った人はいないですから。」


確かにでかけりゃでかいほど、膨大な魔力がいりそうね。

ボクには無いがな!


「そろそろ、作業を決めよう。

チヨヒコも"禁忌の償還魔法"を知らないとなると、場所もわからないだろうし。

手っ取り早くやれなくする方法があればいいけどね。」


「…うーん、詠唱時間や魔力消耗量はどうでした?」


「そだね、結構長いスペルじゃないかな。そして、動けなくなるくらい消耗してた。」


「ならば簡単です。威力の高い魔法には、それに見あった長い呪文と魔力が必要です。

要は、途中で詠唱妨害をしてしまえばいいんですよ。」


「それを逆に妨害するヤツを誰かに妨害させれば、誰にでも出来るね!」


「はい、更に詠唱側のリスクが荷担してくれます。

ギリギリで止めれば、それだけの代償として、詠唱側に返ってきます。」


あれだな!丑三つ参り的な!


「厄介なのは上級者にもなると、3対3ですから、一人が注意を引き付けている間にボソボソ詠唱してしまう点です。」


「確かにあのとき、カイヅカのおっさんに皆気をとられてたわ。

何かブツブツ言ってるのは気がついてたけど。」


「そうですね。この原理を知らなかったわけですから、仕方のないお話です…。」


知ってしまったボクには、もう通用しない!


「やることは決まった!時間はまだまだある!

チヨヒコは友だちに協力を煽って、合金をありったけ集めて作ってくれ!」


「カリンさんは?」


「ボクは…、"囚われのお姫様"たちの居場所を探りに行くのだよ!」





…ボクは戻ってきた。

しかしまぁ、何度見ても趣味悪いな…。

金箔だってわかっても全部金色じゃ、"金の鯱"さんも真っ青だよ。


そして、相変わらずの無関心ぶりだな、おい…。

ボクをちら見しながらも、大あくびしてるわ。

守衛よ、ちょっとくらい仕事しやがれよ。

ま、今は有り難いがね。

さぁ、"囚われのお姫様たち"はどこかなーっと。


ボクは警戒しつつも、城の中の散策を始めた。

この城も大して広くはない。

ボクんちよりはそりゃでかいけど。

勝手に襖を開けまくる。

そして、ちゃんと閉める。


……奥の行き止まりに違和感を感じた。

繋ぎ目がおかしいな。側の柱には変な出っ張り。

ボクは周りに誰もいないことを確認して、出っ張りを押した……。


………ギィ。


ほう、カラクリ屋敷か。愉しませてくれる。

行き止まりだった場所が回転式に少し回った。

さっと体を滑り込ませる。

……静かに閉めた。

こちら側にも直ぐ側の柱に出っ張りがある。

戻るときはこれだね。

振り向くと、鍵の掛かった大部屋が一つ。

鍵は何故か、鉄色で、部屋も金色じゃない。

しかし、鍵は厄介だなぁ。

どっかに小窓とかないかな。

隈無く、探りを入れていく。

慎重に慎重に…………。あ。

何か茶室みたいな小さな扉発見。

………こーゆーとこ開けたら、監視の人とかいそー。

音を立てないように、ちょっと開けて見た。

…………あれ?あれれれれ?誰もいない。

不用心だなー。中には木の粗い格子。

座敷牢とかにあるあれみたいな。

そろりと入って、また閉めた。


「…だ、誰?」


振り向く前に女の子の声がした。

振り向くと、一人じゃない。

三人の女の子がこちらを見つめている。


「…サヨちゃんとオハナちゃんとー?」


「…オミエです。あなたは?」


揃いも揃って、将来有望株だ。


「オミエちゃんね。ボクは華凛。」


いぶかしがったまま。


「安心しなよ。ボクは敵じゃない。

君たちを探しに来たんだ。ま、直ぐには助けられないけど。」


「助ける?」


「まさか、マサチカに惚れてる子はいないよね?」


皆首を振った。デスヨネー!


「勇敢なチヨヒコ少年の協力の元、マサチカの帰還と共に君たちの救出作戦及び、ボクの脱出作戦が決行される。」


簡単に説明。


「え?チヨヒコさん?」


「君はオハナちゃんかな?」


「は、はい。」


「彼は君を心配してた。」


「サヨちゃんとは友だちなのかな?」


「はい。」


「だから、親御さんが心配してたのか。

オミエちゃんはちょっとわからないけど、心配しない親はいないからね。」


「…私だけ、離れた場所ですから。」


「大丈夫!ボクが全て引き受ける!

にしても………、マサチカってロリコンだな。」


三人とも、チヨヒコと同年くらいに見える。

対するマサチカは、どう見ても成人している。

………何故、ボクは数に入ったんだ?

その辺は後で突きつけてやろう。


「まずは、この部屋の位置を確認しよう。多分、離れだよね。

閉じ込めるとか、正気を疑うけど。

ま、大体一本道だから…正面突破しない限りは大丈夫かな。」


「あの…何のことですか?」


あ、確かに不思議だよね。


「君たちを助ける勇者のためにちょっとね。

こういうときはさ?格好良く、男の子に助けられたいじゃん?

ボクは気にしないけど。」


「はぁ。」


まだ、わかんないかー。

ボクもそういうのが定石ってことしかわかんない。


「あとは…、"鍵"だね。何かないかな…。」


ポケットごそごそ。


「……お?あるじゃん!ボクってついてるね!」


ポケットから出てきたのは、"アメリカピン"。

黒く塗装された、一般的にケースで売ってるシンプルなヘアピン。

今なら、100均あたりでも普通にあるやつ。


「これを~、よし!」


折れているのを無理矢理真っ直ぐにする。

こういう古い南京錠って、かなりざっくりした作りだったりするんだよ。

何か戦国時代っぽいし、ボクの世界ほど無駄に複雑構造はしていないはず。

ほら、防犯とかで色々ハイテクになってるじゃん?

こういう鍵も、廃れさせるわけにはいかない。

複雑化しないと売れないからね。

でも、ここじゃそんなの必要ないと踏んでるわけよ。わかる?

てなわけで、差し込んでみよう!


…数秒ガチャガチャしたら、ことのほかあっさりとガチャリってした。


「…ビンゴ!」

(※良い子は真似しちゃだめだよ!※)


女の子たちはビックリしている。

まぁ、そうね。

重い南京錠があっさり開いたら、そりゃ驚くわな。


「後は閉まらないように填める…と。

勇者が来たら、"下に引く"ように言ってね?

くれぐれも、"上に押す"なって。」


頷いてくれた。

うん、いい子たちだ。

将来明るいよ!

寧ろ、ボクが明るくしてあげるからね!

…準備はOKだ!


「…君たちにも協力してもらおう。」


三人は、正座し直す。

わぁお、お行儀がいいなぁ。


「決行は、マサチカ帰還時。

ボクがマサチカの気を引いている間に助けがくるようにする。

君たちが居なくなったら、すぐにでも伝達がいくだろうね。

でも、絶対に君たちを捕まえさせたりしない。

ちょっと喋っただけだけど、何となく性格は読めたからね。

逃げ道は確保しておくよ。

"全てボクが引き受ける"から、安心して家族のもとにお帰り。」


「あ、あの!カリンさんは天から遣わされた天女様なのですか…?」


「ボクは、そんな大それた存在じゃぁない。

こよなく井戸を愛する、一般人だ!

まぁ、誰もボクの井戸愛に賛同してはくれないが、それでも構わない。

井戸の井戸による井戸のための、"井戸異世界"!

ボクは"井戸"が"地下水を組む道具"の

異世界からやってきた!

しかし、ボクは夢見ていた!

"入っても怒られない"井戸を!

きっとこの世界は、ボクを待っていたのだと確信する!

……ま、そんなこんなでボクは"井戸異世界"とは別の"異世界"からの来訪者なのだよ。

相棒のゆーまんと共にやってきた。」


馬鹿にはしてないみたいだけど、完全に呆気に取られてるね。シカタナイ。


「…きっと、カリンさんの"井戸への想い"と、この"井戸世界"が共鳴したのではないかと思います!

もしかしたら、こんな哀しい戦争が終わるかもしれません。

…無茶なお願いだとは、重々承知です。

でも、カリンさんなら…!」


うわー、逆に熱い期待の眼差しが痛い!

純粋ってちょっと怖い…けど。


「…ボクは目標なんて持たないよ。

持ってる目標は、"元の世界に還る"ってことだけだ。

だから、約束はしない。

だけど、これだけは言っておこう。

"押しつけがましいヤツ"には、こっちも"全力で押しつけ"てやるから。

出来ないことは最初からしない主義だ。

ボクはやりたいことだけをやる。

…でも、泣いてる子を泣かせたまま去るなんてしないさ。」


…ふ、決まったな!


「さて、と。長居は不要だね。最終確認をしなくちゃならない。

君たちは助けが来たら、さくっと出られる準備だけしていればいい。」


しっかり頷くのを確認し、ボクはゆっくりと茶室みたいな小窓を開けてみた。

よし、誰もいないね。

そろりと元来た道を戻り、なに食わぬ顔で庭に出る。


「…手頃なのないかな?」


ボクは散歩に見せ掛けながら、庭をぐるぐるした。

池州には"金色の鯉"たちが泳いでいる。

鯉がこんだけいるんだから、斑とか出目金とか混ぜてくれ。

囲ってる石まで金ぴかでどうしようもない。


さっきから日常風景のように、使用人さんたちが通りすぎるけど、皆金か金と白の着物だ。

ムカムカしてくるわ。


あ、良いとこ発見。

丁度、石垣と石垣の繋ぎ目らしいその場所は、石が歪でゴツゴツしている。

しかも日陰宜しく、太い枝のあるしっかりした木が隣接していた。

これは行けるか?

ボクは、よじよじと登ってみた。

…誰も気にする人はいないのは、ホントに有難い。


よっと、石垣に股がる。

意外に楽に登れた。

一番近い枝は拳3つ分くらい。

軽く移動出来た。

下を見ると、お誂え向きにもう一本太い枝がある。

軽く反動をつけるだけで移動出来た。

同じようにして着地。


見渡すと街の外れらしく、あまり人はいない。

ここからなら、浸入してもバレないね。

正面玄関はちら見されるけど、こっちはガン無視だし、そんな多くはないし。


後は、チヨヒコの部隊がどうなっているかを確認だ。

ボクは廃武器庫へ駆け出した。



一方……。


「チヨヒコ、いきなり呼び出してどうしたい?」


チヨヒコと一緒に、数名の少年がいる。


「皆!おいらに力を貸してくれ!

おいら、オハナちゃん助けたいんだ!

カツナリ、おまえもサヨちゃんが心配だろ?」


「心配は心配だ。けどよ、無理なもんは無理なんだ。

おまえも無茶言うなや。」


他の少年たちも頻りに頷く。


「きっと!無理じゃない!

無茶苦茶だけど、無理じゃないんだ!

"カリン"さんが、ついてる!」


「"カリンさん"って誰ぞ?」


「この悪雲立ち込めた状況をひっくり返すために現れた救世主様だ!」


すごい過大評価をされている。


「…変な宗教にでも引っ掛かったんじゃないのか?」


そう言われてもシカタナイ。


「違うさ!あの人は、"普通"じゃない。斜め上を見てるのさ!」


ソウデスネ。


「"変な人"じゃなか?」


「変だけど、説得力は半端ないよ。

おまえら、聞いてくれ!」


そしてチヨヒコは、彼らに華凛から聞いた話を分かりやすく説明した。

皆、信じたくない面持ちだったが、信じずには居られない内容に絶句する。


「…もし、変えてくれるなら、おいらたちも何かしたい。変える側でな!」





ボクは廃武器庫に到着した。

…何かいっぱいいる。

さっきまで二人でいたその場所には、数十人の人だかり。

なんだなんだ?チヨヒコ大丈夫か?


「チヨヒコー?!大丈夫ー?!」


叫んだら皆、一斉にこっち見た。

…デスヨネー。

しかし、予想に反した声が疎らに聞こえた。


「あ!あん人が"救世主様"か?!」


「んだんだ!見慣れぬ格好してるでな!」


「別嬪さんでねか!」


「お姉さん!"井戸異世界"じゃない"異世界"からきたって?」


「"井戸の女神様"なんだよ、きっと!」


最後の誰だ!"トイレの神様"ばりのこと言ったヤツ!

……取り敢えず、批判的な言葉はないけど、何か飛躍した言葉ばっかり飛んできたぞ?

ま、人の話は伝言ゲーム。尾ひれがつくもんだ。………つきすぎだろ!

って、ツッコミはゆーまんの担当なんだけどぉ。


「やーやー、皆の衆!チヨヒコの友だちかな?」


友だちにしては、お父さんお母さん世代やじいさんばあさん世代、更なるチビッ子たちまでいるけど。

交友広いなぁ……。


「あ!カリンさん!おかえりなさい!

おいらたちだけじゃ運びきれないんで、説明したら来てくれたんです!」


「いやー、チヨヒコの人徳じゃないかね?」


ボクらの会話にヒソヒソ話す声が耳に入る。


「やはり、仙女様か何かだよ。オナゴの話し方じゃあないさね。」


「人間の姿してるだけじゃないか?」


いやいやいや!?


「ちょっとちょっとちょっとぉ!

ボク、人間だから!趣味が特殊なだけの一般人だから!」


この人たち、飛躍し過ぎだよ!


「…で、どんな塩梅だい?」


ツッコミ入れたから、暫くは大人しいだろ。


「はい!見てください!」


そこには、一番大きな砲台サイズの金の玉5個にボクがINしてた砲台サイズの金の玉が10個転がっていた。


「でかしたぞ!チヨヒコ!これだけあれば十分だ。」


「あの、カリンさん。」


「なに?」


「これ、結局どこにあてるんですか?」


「勿論、"趣味悪い城"。」


「城破壊しちゃうんですか?!」


流石にビックリしてる。

全部破壊するとは言ってないけどね。


「チヨヒコ、これさ。時限式に発射出来るように出来ない?」


「んー、時限式ですか。

導火線みたいに短い時間でしたら、可能かもしれません。

カリンさんが触れたら起動する仕組みに錬成はできそうですよ?」


「頼んだ!」

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