第12話揺れ動く内面
ぼくが彼女に電話をしたというのは真っ赤な嘘だ。今頃彼女は彼氏の車に乗って、どこかにドライブに出掛けている。それはそれでいいことなのだ。彼女は彼氏を頼りにしている。悩みを打ち明けたりするのだ。それから彼氏に身を任せることになる。それが今日でなくとも、いつかはそうなる。それもいいことなのだ。何もかも良いことばかりでなく、うんざりするほど転がっている恋人事情なのだ。彼女は何れ結婚することになる。その彼氏であるかどうかは分からないが、いずれそうなる。それから彼女は家庭を築く。そしてお母さんと呼ばれるようになる。ただそれだけのことなんだ。
明白すぎて小説になどなりそうもない。劇的な要素を醸し出すには断面でなくてはならない。いかに瞬間を広げるかにかかっている。これは一体誰の言葉なんだ。ぼくにはわからない。
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