落とし穴 スイッチ鉄球てれ屋さん④
◇◇◇
満月が昇る空の下、アキンスー一味はキィコキィコと力無く三人乗り自転車をこいでいた。先程から口をついて出るのは、深いため息ばかり。
アッキージョが深々と色っぽいため息をついた。
「今日はなんてツイてない日なんだろうねぇ……」
「ボクちゃんメカを紹介するヒマさえありませんでしたよ」
「わてら本物の銭形数斗だけでなく、本人が居ない所でも数斗に勝てないでんねん……」
「ああ、お月様……こんな不憫なアタシ達をどうか許しておくれ……」
アッキージョが涙に濡れた瞳でお月様を見上げる。
『ゆ〜る〜さ〜ん〜だ〜べ〜〜〜〜』
「はっ……!」
「こ、この声は!!」
どこからともなく響いてきた声に顔を硬直させる三人。満月の中に赤い影が映りしゃれこうべの形をかたどった。
『シャレコウベエ様!!』
『子供一人攫う事が出来ないお前達には、かあちゃんより怖ぁ〜いおしおきだべ〜〜〜〜』
その言葉が終わると同時に、空で輝いていたはずの満月が大きくなり始めた。いや、そうではない。満月が近づいてきたのだ。
『しょええええええええっ!!?』
全力で自転車を漕いで月の落下地点から回避するアキンスー一味。重い地響きを立てて落下したドクロ満月は、ざっと銭形家の鉄球の十倍の大きさはあった。
「この展開はもしかして……」
「もしかすると……」
「もしかするでんねん……」
青ざめる三人の目の前で、当然の如く、三人に向かって転がり始めるドクロ満月。
『やっぱりぃぃぃぃぃぃ!!!』
最後の最後まで必死で逃げようとがんばるアッキージョ達だったが……、
その結末は、ご想像の通りということで。
◆七番勝負 終 〜タツノコよ永遠に〜
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