第498話

「万事お前の見立てどおり事が運んだとして、ラスターが起こす奪還軍との衝突は避けられまい。一度ゴルディアを落とされたとなれば、当然それは駐留戦力をも大きく上まわる規模となるだろう」

「どれだけ引き連れてこようと結果は同じことよ。私が勝ち、ラスターは敗れる」

「魔術師の力は底知れぬ、たとえ炎の民の血をその身に流さぬ者だろうとな。あの広大なユロアの地に、古き神を脅かすだけの力を有する魔術師がいないとどうして言い切れる」

「神を脅かす魔術師ですって。そんなものが存在するのは御伽話の中だけよ」

「古き神も伝承の中の住人にすぎないはずだった」

「引導師オルバ、火然卿ラグナル、雷鳴のリュモス」

 ユロアの高名な魔術師達、その一部の名をあげながらベルティーナは言う。

「誰であろうと同じことよ。どれほど優れた魔術師とて古き炎の神々の力には決して及ばない」

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