第440話
「古き精霊よ、これは大切な話だ」
我慢できず二人の会話に割って入ってくるマルフス。
そんな小男をセセリナは強い口調で注意する。
「黙りなさい。私は彼に言っているのよ。あなたには聞いていないわ」
彼女が把握する人となりから考えれば、ガァガは無粋に物事を進めるような真似を良しとする性格にはない。
己の信ずる宿命との邂逅に気持ちがはやるマルフスと違い、この老兵ならば事の重大さを認識していながらも、自分の思いを汲んでくれるのではと古き精霊の少女は期待していた。
「たしかに……。我らもすこしばかり焦りすぎていたようだ。礼を欠くような振る舞いをしてすまなかった」
そう言って詫びながらガァガは言葉を続ける。
「話は日をあらためてという事にしよう。先の戦いの功労者に我らも出来るだけの事はさせてもらうつもりだ。何かあれば気兼ねなく申してくれ」
呆気なく話を切り上げ立ち去ろうとするその対応に、もう一方は納得いかず声を荒げる。
「何を悠長な事を!! 古き精霊よ!! お前とて黒き預言を知らぬはずはあるまい!! 彼だけが……」
「よせマルフス!! いいかげんにしろ!! 話はまた次の機会と言っておろうが!!」
激する大男に圧されマルフスは口をつぐむしかなかった。
「失礼した。気を悪くしないでくれ」
そうしてその言葉を残し、ガァガは傍らの小男と共にレグス達の部屋を後にする。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます