第421話

――戦え、戦え、戦え。

 まるで呪いのようにまとわりつき、あらゆる感情を塗りつぶし、ただ戦う事だけを己の精神と肉体に要求する。

 闘争に対する狂った執着心。

 壊れたように頭の中で響き続ける言葉。

――戦え、戦え、戦え。

 しかし、それが叶う事はない。

 レグスの意識は大きな力に引きずられ沈んでいく。

 昂りと裏腹に、意識が深い闇の底へと沈んでいく。

 どれだけもがき、抗えど、限界を超えた精神と肉体は彼の要求に応える事無く、沈んでいった。

 そして、焦がれるほどの闘争心を抱きながら沈んでいくレグスの意識が、闇に呑まれるその刹那、声がする。

 それは優しくも、物悲しい声だった。


――ごめんなさい、レグス。私には、お前の炎を静めてやる事が出来なかった……。ごめんなさい……。

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