第369話
だが、そんな言い訳は何の役にも立ちはしない。
いま彼が戦っている敵は、立派に戦ったからといって、情けをかけてくれるような相手ではないのだ。
気力を奮い立ち上がるレグス、されど手にした魔剣からは、リッチを討ち取った時のような溢れんばかりの力はすでに感じられない。
そんな満身創痍の男に、オーク共は容赦なく襲いかかる。
一体、二体、三体……。
次から次へと、四方八方から襲ってくる魔物共をレグスは斬り続けた。
鈍い剣速、重い足取り。
リッチを倒した者とは思えぬその戦いっぷりは、そのまま彼の苦境を如実に表している。
多勢といえど、オーク相手に苦戦を強いられるレグス。
泥臭く戦う中で、彼の脳裏に声が響いた。
――レグス、レグス!!
セセリナの声。
死の淵の世界で、魔石の誘いから救い出した精霊が彼を呼んでいた。
――どうした、セセリナ。
剣を振るいながらも、念じ彼女に返答するレグス。
その応答に青き精霊の少女は少し安堵したようであった。
――無事なのね。
――今のところはな。
――そう……。すぐにそっちへ助けにいってあげたいところだけど……、そうもいかないの。
深刻さを含んだ彼女の思念に男は嫌な予感を覚える。
――何があった。
――魔法陣が限界よ、結界が消えるわ。
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