第368話『絶望が哭く』

 リッチを倒したレグスだったが、それを喜んでいられるような暇など彼にはなかった。

 ここは敵陣奥深く。

 不浄の王を倒し悪霊を消滅させたといっても、オークやトロルといった魔物共は健在である。

 彼はその敵を斬り進み、城へと生きて戻らねばならなかった。


 レグスの周囲を取り囲む肉ある魔物達は、不浄の王のまさかの敗北に束の間動揺らしきものをみせてはいたが、すぐにそれは消えた。

 じわりじわりと距離を詰めて近付いてくるオーク達。

 警戒こそしているが、戦意は決して萎えていない。

 そんな魔物共を相手にしようと、黒き魔剣を構えなおすレグスだったが……。

「くっ……」

 力の反動のせいか、よろめき膝を地につく。

 無理もない。

 想定をはるかに上回る激戦続きのせいで、精神も肉体もひどく消耗していたのだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る