第291話
守る側は、射殺しても射殺しても限なく押し寄せる地上の軍勢にだけ気をとられるわけにはいかなかった。
空からもハーピー達が攻め込んで来ていたのだ。その数もかなりのものである。
空中を舞う怪鳥達の侵入を防ぐ為、城塔に配備された弓兵達が応戦する。
胴を射抜かれ、翼を射抜かれ、ハーピー達が次から次へと撃ち落されていくが、やはり地上と同じく空の軍勢も怯む事無く攻め続けてくる。
応戦する者達に休む間を与えない怒涛の攻勢。
射手が疲労からわずかにでも集中力を切らせば、その隙をついて怪鳥達は城を守る者達にするどい鉤爪を使い襲い掛かった。
籠城する者達にとって驚異となるのは、陸と空から攻め寄せる魔物達だけではない。
ダークエルフの知恵を用いて作られた強力な攻城兵器もまた厄介な存在であった。
「くるぞ、攻城塔だ!!」
牛の巨人に背を押され巨大な車輪を回しながら城壁へと近付いてくる兵器の姿を見ながら壁の民達が叫ぶ。
攻城塔の最上階にはオーク共が弓を構えていた。渡し板が城壁へと降りれば、その後ろで武器を構える白兵戦部隊が雪崩れ込んでくるだろう。
何としても、城壁へと近付ききる前にこの巨大な兵器を止める必要があった。
「射て、射て!!」
壁の民の大弓から放たれる矢が集中的に攻城塔へと降り注ぐ。
しかし巨大な兵器はびくともしない。
ダークエルフ特別製の不燃性の被覆が施されていたこの兵器には火矢すらも通じぬようだった。
「ったくもう、ぬるい攻撃してんじゃないわよ!!」
止まらぬ攻塔城に魔術師ベルティーナが火球を放つ。
爆音鳴らし、直撃するベルティーナの魔法攻撃。
一流の魔術師の術だけあって、その威力は凄まじい。
だが……。
「……やってくれるじゃない」
攻城塔は止まらない。枯れ森のエルフの知恵と魔術が彼女の攻撃よりも優っていたのだ。
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