第173話
「無理だ」
「命令だ」
「出来るわけがない」
「ブノーブ」
「私はあなたの事を心の底から尊敬している、勇者ガァガ。だからこそ、このような指示を聞くわけにはいかない。あなたがこのまま王のもとへと行く事を許せば、あなたの名誉は穢れ、その首が飛ぶ事になる」
「かまわぬさ、我が名誉と首だけで済む問題ならば、安いものだ」
「どうしてそこまでして愚かなマルフスを庇う。あの男が勇者バノバの子だからか!?」
「戦士ブノーブ、よく聞け。友の子であるから庇うわけではない。奴が本当に星の声を聞く者であるのならば、事はこの壁の内では収まらぬのだ」
「あなたまでそのような事を!! 奴は大嘘つきにすぎない!!」
「そうである事を願おう。それならば事は我が名誉と首だけで済む。……ブノーブよ、我が誇りを賭して、改めて汝に命ずる。刑の執行を中止し、マルフスを牢へと戻すのだ」
改めての命令にブノーブはついに折れる。
「くそおおおお!! 勇者ガァガ、刑の執行はあなたが私に任せた事だった。万が一決闘となるなら、その役目は当然私にしてもらおう!!」
「いいだろう。お前を王に推挙する事を誓おう」
その言葉を聞き、執行人ブノーブは大きく息を吐いた。そしてレグスを睨むようにして言う。
「残念だったな、愚かな西の民よ。奇跡が起こり決闘裁判となろうと、私が、この戦士ブノーブが選ばれれば、それこそまさしく天意。お前達に勝ち目はない」
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