第170話
「呆れたな。おおかたあの男が持つ忌まわしき地の知識が欲しくなったのだろうが……、諦めろ欲深い西の者よ。あの男の死はもはや揺るがぬ」
「確かに灰の地の事を知る者は貴重だ。だが、そうではない、星読みは我らにとって神聖にして冒されざるべき者、お前達の行いを見逃すわけにはいかない」
フリアには星読みの預言者を尊び、特別視する風習が根強く残っていた。
そういった者達にとって星読みを害する事は、聖職者が信仰する神々を彼の者の前で冒涜するに等しい振る舞いであり、看過し難き事。
もちろん、その星読みが本物であるか、あるいはそう思われている人物でなければいけないが……。
「まさかあの男の戯れ言を真に受けているのか? あんなものイカれ野郎の狂言にすぎぬわ」
「私にはそうは見えなかった」
言わずもがな、これらは罪人を助け出す為のレグスの方便にすぎない。
「そうか、それならそうでいいだろう。だがな、よく聞け。お前達が星読みの者を尊ぶように、我らは我らの王を尊び、我らの戦いを誇りにしているのだ。あの罪人はその誇りを汚し、裁判を経て王の決定によって処断される。何人もそれを覆す事はかなわぬ」
「だが神々の御心を、壁の王とて無碍には出来まい」
「なんだと」
「私は我が名誉と信仰に誓い、彼の者の無罪を主張し、決闘裁判を要求する」
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