第164話『門街の地で』
北は竜翼山脈の西端『不到天山』の麓から、南は竜胴山脈まで続く南北総長千五百キトル以上にも及ぶ高き壁。
この総大な壁には百キトル間隔で『大門』と名づけられた巨大な門が備え付けられており、レグス達はこの内の一つ、壁の北限から三百キトルほど南下した場所にある『北の第三大門』を通りグレイランドへ入る予定になっていた。
花月の予め決められた出発日より数日早く、彼らの姿は既に『門街』と呼ばれる大門のフリア側に併設された壁の民の街中にあった。
「まじででけぇ。すげぇな」
前方に見える巨大な壁を目にしながらファバが感嘆の声をあげる。
高さ五十フィートルを越える人工建造物を目にする機会など辺境の少年でなくともそうあるものではない。
「フェンの王城より全然でかいな、こりゃ」
ガドーも巨大な壁の迫力に圧倒されている。
「あれだけの巨壁を越えようとする者達が跋扈する地に、幾日後には足を踏み入れる事になる」
レグスの言葉にファバが息をのむ。
「あの巨壁は自然に出来た物ではない。フリアの者達が必要とし造り上げた物。あれだけの物を建てねばならぬほどの脅威が壁の先にはある」
レグスは何一つ大袈裟に言っていなかった。
実際これほどの巨大な壁が存在してなお、壁の民の強力な武力がなければ、フリアの地はグレイランドの魔物達によって蹂躙されてしまうだろう。
自分達はそれほどの暴力が潜む地に自ら足を踏み入れるのだ。
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