第137話
「臆病者で卑怯者のお前達がこんな前線まで出てくるとは!! 待っていろ、今すぐ我が剣の錆にしてくれる!!」
ルルの叫びに醜悪で小さな魔物はけらけらと笑い言う。
「ここはもう俺達のものだ大女。お前一人ではどうにもならん。じきに壁の上は黒沼のリザードマンで溢れ、門はオークとトロル達に破られるだろう!!」
「ぬかせ!! 千を越える年を重ねても一度足りとてお前達はこの壁を越えられはしなかった!! 今度も同じ事だ!! 私が死のうと、同胞の勇者達がいる!! 再び、お前達はせまい穴ぐらの奥へと追いやられるのだ!!」
「敗れたのは俺達ではない俺達の先祖だ。そして勝ったのもお前達ではない、お前達の先祖だ。同じではない。お前は死に、お前達は壁を守れぬ」
「驕るなゴブリン。お前もお前の先祖も同じだ。穴ぐらに隠れ住まう軟弱者だ!!」
ルルの言葉に腹を立てたのか、ゴブリンは短く同じ言葉を繰り返し叫んだ。
それは魔物達の言語、そんなもの知りはしないルルであったが、魔物の言葉がわからぬ彼女でもこのゴブリンが何を叫んでいるかぐらい直感で理解できる。
殺せ、殺せ、殺せ。
リザードマン達がゴブリンの言葉に従い、再びルルへと襲い掛かった時、壁の上に喇叭音が鳴り響く。
その音に魔物達は途惑い、ルルは笑う。そして彼女は言う。
「さぁ来たぞ、お前達の死神が!! くたばれ、薄汚いグレイランドの魔物達よ!!」
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