第136話

「くそ!! やられた!! 左腕がぁ!!」

 百は越えるリザードマンとわずか三人の壁の民、その戦いの中で、戦士バルバは槍攻撃を左腕に受けてしまう。

「バルバ!!」

「大丈夫だ!! 毒が回るより速く、このゴミ共を掃除してやる!!」

 壁の民との戦いでそんな悠長な時間を与えてくれる毒を、あのゴブリン共が用意するとは思えない。

 そんな事はバルバもわかっている。

 決死なのだ。

 彼もバルボバも、そしてルルも、今は決死の戦いの最中にいるのだ。


 戦いは続く、やがて毒によって動きの鈍ったバルバが討たれ、バルボバもがトカゲ達の手にかかり死んでしまう。

 ルルは仲間の死の度に怒りを増し、それを力に変えて、リザードマンの屍の山を築いていく。

 だが斬れども斬れども、トカゲ人間達は次から次へと壁を登ってきており、壁上の数が減る気配はない。

 戦士を越え、勇者を越え、武神の如く戦い続けるルルであったが、彼女の体力の限界は近づいてきていた。

「よく戦い、よく殺すな、西の壁の大女よ」

 リザードマンの鳴き声とは違う、耳に付く不快な声。覚えはある。聞き間違えるはずもない。この邪悪な声を持つ魔物は……。

「ゴブリン!!」

 ルルが声の方に目をやれば、そこにはリザードマン達よりもさらに背丈の低い、醜悪な魔物が立っていた。

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