第124話

「……さて、次はこっちの質問に答えてもらう番だぜ」

 グラス達について喋りすぎたのを後悔しているのだろう、少々強引に話題を変えようとするガドー。

「そうだなぁ」

 本当の名前、あるいはその他のレグスが隠そうとしている事、そんなものを質問したところでまともな答えが返ってくるはずもない。ならば当たり障りのなさそうな話題を選択した方がいいと彼は判断する。

「あんた随分と腕が立つがどこで剣を習った。その歳で我流を極めたってわけではないだろうよ」

「もとは故郷の村に来た流れ者に教わったものだ。旅にでるようになってからは自分なりにそれを磨いていった」

「あんたに剣を教えた男ねぇ。どんな男か興味がわくぜ」

「私も彼については詳しくは知らない。あまり自分の事を話したがる男ではなかった」

「まるであんたみたいだな」

「……ああ、だから気が合ったのかもしれない。言葉より剣を交え、日々を過ごしていた」

 それらしい事を並べるレグスであるが、実は全て嘘である。彼に剣を教えた無口な流れ者の男など、この世のどこにも存在しない。

「言葉よりも剣ね。なんだかあんたらしいなと思えるよ」

 ディオンが納得するように言った。

「俺からも一つ質問していいか?」

「なんだ」

「ゲッカ、あんたは何の為にグレイランドを目指す。正直、金だ名誉だ、そんなものに目が眩むような人間には見えない」

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