第120話
「ロブエル・ローガを害しようという意志が、あなたにはありますか?」
ファバが受けた質問とまったく同じ言葉でレグスに問うミルカ。
「そんなものありはしない」
レグスの言葉に、ミルカは瞳の色を戻し、溜め息を尽いた。
そして彼女は言う。
「問題ありません……」
ミルカの言葉にまっさきに反応したのはガドーであった。
「おお、決まりだな。嬢さん、この男は絶対使えますって!! まじで半端ねぇ使い手でしたもん!!」
ベルティーナはガドーの言葉に面白くなさそうな態度をとりながら言う。
「ああ、わかったわよ。好きになさいな。けどガドー、この男が問題起こしたら、あんたもただじゃ済まないわよ」
「ええ、そんな……」
「当然じゃない。あんたが連れてきたんだから」
「そ、それはたまたま、俺が今日当番だっただけで……」
レグスはガドーに内心同情していた。確かに彼にはロブエル・ローガに対する敵意などは存在しない。
だが、根本的にこの開拓団に貢献しようという気もさらさらなかったのだ。
所詮は壁を越える為に得た仮宿、レグス達が勝手にこの開拓団から去った後、ガドーはどのような目にあうのだろうか。
それは考えるだけ無駄な事である。
レグスにはどうしても目指させねばならぬ場所があるのだから。
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