第22話

「舐めやがって、どうせガキだから何もできねぇって思ってんだろ!! ちくしょう、ちくしょう!! どいつもこいつも馬鹿にしやがってよぉ!! くそがぁぁぁ!!」

 怒りで恐怖心が麻痺したのか手にした松明をその場に投げ捨て、少年は男に襲い掛かる。

 男にとってそれはまるで亀の走り、短剣の振りは蝶よりのろまな舞いにすぎない。

 剣を抜くまでもない。

 素手で少年の持つ短剣を叩き落とし、足払いで彼を転ばせる。

 力量さは歴然としていた。

「がはっ!! くそ!!」

 地面に叩きつけられて、それでも少年は立ち上がり攻撃を試みようとする。

 しかし。

「がっは!!」

 男に思いっきり蹴り飛ばされてしまう。

 ごろごろと転がりながら倒れこむ少年。

「気がすんだか」

 男の言葉に再び少年は立ち上がる。

「殺してやる。殺してやる!!」

 それから何度となく同じ光景が繰り返された。

 殴りかかる少年、それを簡単に捌く男。

 しまいには少年は精根尽きたか、その場に倒れこんだ。

「ああぁあああああああああああぁああ!!」

 そして絶叫した。

「なんでこうなる!! なんで、なんで俺だけが!! ちっくしょううううううううううう!!」

 そんな少年の叫びを男はただ聞いていた。

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