『リビング・デッド』

人間は

死ぬ間際に掴んだモノを

 離さないという


なんだ

死体になるのも

 悪くないじゃないか




生きていると

目の前をいろいろなモノが過る


ぼくたちは

それを逃すな 掴み取れと

言われ続ける


あまりに疾く

 あまりに鋭く

  あまりに強く

   あまりに儚く


あまりに遠く

 あまりに高く

  あまりに尊く

   あまりに重く


あまりに大きく

 あまりに稀少で

  あまりに滑らかで

   あまりに眩しくて


掴めないモノ

掴んでも

 一刻と手の中に留まらないモノの

ああ

何と多いことか!


もしも

たったひとつで構わない

掴んで離さずにいられるのならば




死体になるのも 悪くない


悪くない

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