『空はト短調かもしれない』

空は

ト短調かもしれないし

ニ長調かもしれないが


大切なのは

そんなことじゃなくて


海流に乗って悠然と泳ぐ

大きな大きな魚のように


今 通り過ぎた風は

空を奏でていたんだ

ということ



それは

ト短調だったかもしれない

ニ長調だったかもしれない


ただただ 無性に

そういうふうにしか

音を拾わなくなった

……耳が酷く寂しかった

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