『虹と8分の6拍子を君へ』

街中に

予想もつかないメロディが溢れてる

トラップだらけの迷路のよう

僕は嫌いじゃない


凶暴なワルツは

鷲掴みに引きちぎった五線譜を

拳ごとたたきつけてくるし

臆病なエイト・ビートは

ほら

今にもスネアが空振りしそうで


笑えてくるじゃないか!

軽い目眩に浮かれた僕が

間抜けな顔で振り向くと



君は


  負けない


と呟いた



ああ 君は気付いていたんだ

そしてそれを隠してきたんだ


息も継がずに歌い続けてきて

両肺が焼けつき

横隔膜が破れ

喉が裂けて

倒れて尚



 君の歌は

 誰にも聞こえてなかったと



ならば君は

七色の音符をこぼれるほど抱き

 8分の6拍子 小さな部屋の中で

 クリスタルのヒールを履いて

譜面台が跳ぶくらい

あらゆるリズムを踏み鳴らせ!



今度は僕が全身を投げ出して

  受け止めてみせる

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