第2話

次の日、王様がかわいそうなウサギの様子を見にやってきました。




「俺様のごちそうは元気かな?」




見ると、かわいそうなウサギは、畑仕事で汚れて灰色です。




「俺様の誕生日の大切なごちそうだ。きれいに洗ってやれ!」




かわいそうなウサギは、泡だらけのいい香りのするお風呂で、きれいに洗われました。




すると、灰色だったかわいそうなウサギは、真っ白でフワフワの美しいウサギになりました。




「はっはっはっ!誕生日のごちそうらしくなったぞ。でも、ちょっと痩せすぎだなぁ。




これでは食べ応えがないぞ。たくさん食べさせて太らせろ!」




それから、かわいそうなウサギのもとには、毎日毎日国中から集められたおいしいごちそうが、




たくさん運ばれてきました。




真っ赤なニンジン、みずみずしいキャベツ、緑の四葉のクローバー、かわいそうなウサギはおいしいごちそうを




毎日毎日たくさん食べて、コロコロ太ってきました。




「うむ、美しく太ってきて特別なごちそうらしくなってきたぞ。




明日の俺様の誕生日には、特別着飾ってやれ!」




ついに明日は王様の誕生日。明日には食べられてしまうかわいそうなウサギは、どんな気持ちなんでしょう。




その夜、かわいそうなウサギは、塔の窓から美しい夜空をいつまでもいつまでも眺めていました。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る