第4話 勇者、謎の青年を見つける
私はミーナと一緒にアッシュ達を探していた。
すると、向こうの方からアッシュ達が歩いてきているのが見えてきていた。
「ようやく、見つけたぞ。」
アッシュは私達を見つけると最初にそう言った。
「いやぁ、ごめんごめんすごくそそる場所だったからさ。」
「私もいい迷惑でした……」
その言葉にミーナは謝罪の意を述べつつ、私は自分も迷惑したことをミーナに呟いた。
けれど、それを聞いたミーナは反論してきていた。
「でも、楽しそうにしてたじゃない?」
「うっ……それは否定できないです。」
それを見ていたラーサは私達にこう言った。
「ほう、もう仲良くなっているな。まぁ、いいことだが我々も忘れられると困るぞ。」
「そうだぜ。俺達とも仲良くしようぜ。」
「あ、はい」
それから、少し話し合っていると、アッシュが一人呟いていた。
「それにしても、薫のやつ準備二時間かかりすぎじゃないか?何か聞いてないかな?」
「い、いえ何も……」
「そうか……まぁ、アイツのことだし大丈夫だろう」
そろそろ、自分のことを話そうかとも考えたがまだ、そういうことをいえる雰囲気……それに場所ではないと思ったので、私は案内を続けるということにした。
「……では、とりあえず、次の場所へ行くことにしましょうか?」
「そうだなぁ……だが、いろいろ動き回るよりここで待っていたほうがよくないか?」
「うむ、私もそう思うぞ。行き違いになる可能性があるからな」
「そ、そうですか……」
私が提案したことは、アッシュとラーサは反対の意を示していた。
それもそうかと私は思っていたが、横からミーナが言ってきた。
「いや、でも大丈夫じゃないかな?薫はアレでも魔力のサーチとか私ほどじゃないけど出来るし、それで私達を見つけるなんて朝飯前よ?
それに元々今いない薫が悪いんだし、私達は私達で堪能したいじゃない。」
「うーむ、それもそうだが……」
「そして、何よりもこのカールちゃんが案内したそうじゃない」
「……ふむ、たしかにミーナがいうことにも一理あるね。」
「そうでしょ?さて、アッシュはどうする?」
「……そうだなぁ、まぁ、そうだな。薫だし、行き違いになっても俺達を見つけ出すか、それじゃまた案内を頼むことにするよ。」
「はい」
ミーナの説得により、アッシュ達からも移動するということに納得してもらったので、私が次に行く予定にしている武具屋へと行くことにした。
□□□
「で、次はどこへ行くんだ?」
私達が、本屋から出て街道を歩いているとアッシュが私に聞いてきた。
それに私はこう答えていた。
「えーっとですね、この先の武具屋です」
「ほぉ……武具屋か」
アッシュは私の答えにうんうん肯いてなにかを考えていた。
それから、私は歩いている最中にふと横道が気になったので見るとそこには青年が倒れていた。
私はそれを見るなりその青年の近くまで寄っていった。
「君、大丈夫か!?」
私はその人の近くに寄るなりその人が大丈夫かを確認した。
「うっ……」
その人は少し唸り声を上げ私を見たが、そのまま気を失うように目を閉じた。
私は、大丈夫だということに安心していた。
「いきなり、横道にそれたからどうかしたの?カールちゃん」
私が安心していると、後ろからミーナが話しかけてきていた。
その後ろにはアッシュ達もいた。
「はい、この人が倒れているのが見えたので……」
「……!?大丈夫なの」
「一応、大丈夫です。」
「そう……よかった。」
「えぇっと……とりあえず近くに宿屋があるのでそこに一旦運びます。」
「分かったわ。でも、診療所とかないの?」
「いえ、この近くにはまったくといっていいほど診療所がないんです。」
「そう……」
私達はその人を担ぎ、近くの宿屋まで連れて行った。
□□□
「で、容態はどうですか?」
私は、下の受付で青年のことについて話し、一部屋借り受けていた。
「そうね、とりあえず大丈夫よ。ただ外傷が多かったわ」
「そう……ですか」
「まぁ、とりあえず起きるまで待つのがいいだろうぜ。」
それから、私達は青年が起きるまで少し待っていた。
そして、私達が待って30分ほどの時だった。
「うっ……ここは……」
その青年は目を覚ますと上半身だけを起き上がらせ、周りを見回しながら呟いていた。
「お、起きたみたいだな」
「よかった……」
私達はその青年が起き上がったのみて安堵していた。
「あ、貴方達は?」
「私達ですか?私達は貴方が倒れているのを見てココに連れて来た人ですね。」
「そう……ですか。、ありがとうございます。」
「うん。それで何であんなところで倒れていたの?」
「それは……」
私達は、その青年になぜ倒れたかを聞いた。
すると、その青年はちょっとずつだが答えてくれた。
「ここへ来る途中で何者かに襲われました。……その、襲われた人物については詳しく見てないので分かりません。」
「なるほど、ありがとう。」
「それと……助けてもらったついでに一つだけいいですか?」
「なんでしょう?」
「魔王城まで……連れて行っていただけないでしょうか?」
「それまたなんで?」
「……実は私、魔王様にお伝えしたいことがあります。」
「なるほどね」
その後も、その青年は私達にいろいろ教えてくれた。
「どうでしょうか?」
そして、青年は私達に聞いていた。
私は彼を見つけた状況や、彼が言ったことを吟味した結果、こう答えてた。
「いいんじゃないでしょうか。」
「ふむ、私も同意見だ。」
「私もです。」
「じゃぁ決まりだな。」
私達は全員同じ意見だったので、その青年を魔王城まで連れて行くことにした。
「ありがとうございます。」
「まぁ、まだダメージは抜け切ってないだろうし。私達が見つけたのも何かの縁だからな。」
ラーサはそういいながらその青年の肩を持った。
そして、私達は借り受けていた宿屋の一室から出て、魔王城への道を歩き出した。
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