閑話 賢者の心
私達が魔王との会話を終え、薫との待ち合わせ場所に向かうとそこには見知らぬ女性がいた。
その女性は肩まで伸びた赤い髪をなびかせ、黒いドレス……いわゆるゴシックドレスを着ていた。
私はその女性に見惚れていた。
私がその女性に見惚れていると、その女性が私達に話しかけてきた。
「ようやく来たか、待っていたぞ。」
その女性は私達にそう話しかけてきた。
だが、私達はこの女性のことを知らなかった。
そのため、私達はその場に止まっていた。
そして、数分立ち止まっているとアッシュがその女性に話しかけていた。
「えーっと……どちらさまでしょうか?」
「あっと……えっと……」
その女性はアッシュの言葉で困惑な顔を浮かべ固まっていた。
それを見て、ラーサはその女性に話しかけた。
「えぇっと、薫の使いですか?」
「あー……そうです。」
その女性は少し考え、そういうことにした風な装いをして答えた。
私はそれに少しだけ違和感を感じいつもしていることをその女性にしてみた。
「
私は私以外に聞こえないように小さく呟いた。
その結果……私にとって予想外な結果になった。
(この魔力の波動……薫の波動とまったく一緒……)
私はその結果に驚愕していた。
この世界では、魔力の波動がまったく一緒と言う人物は存在しない。
つまり、この女性は薫ということになる。
……どういうこと?薫は男性だったはずで女性ではなかった。
でも、この女性が薫ということは男性でなかったっていうことで……
えーっと……頭がこんがらがってきた……とりあえず今は考えるのはよそう……
私が、魔力調査をして考え込んでいる間にラーサ達はその女性と会話をしていた。
「じゃぁ、行きましょうか」
「そうだな、薫からの伝言もあるのなら大丈夫だろう…っと、そういえば君の名前を聞いてなかったな。」
「わ、私ですか。……か、カールといいます。」
「カールさんですか、ではよろしくお願いますね。」
どうやら、薫は一時的に自分が薫だということを隠すのだなと私は思った。
私は、まぁもうちょっとしたら薫から話し出すか、私から薫に話しかけるかしようと思い。
薫……もとい現状カールちゃんの案内を受けることにした。
□□□
私達がカールちゃんの案内の下歩いていると、カールちゃんにアッシュは話しかけていた。
その内容はまぁ、いたって普通の世間話から、薫のことについてだった。
自分のことについてを他人的視点で語ってるのを見て、私はただ微笑ましく見ていた。
それから、少ししてカールちゃんが立ち止まった。
どうやら、私達を案内する場所に来たようだった。
そしてその場所は私にとってうれしくなる場所であった。
そう、本屋である。
「わぁ、いいじゃないですか!」
私は言葉に出していた。
そして……
「私ちょっと、奥の方見てきますね!あっ、カールちゃんも一緒に行きましょう!」
「えっ、ちょっと待っ……」
カールちゃんを連れ出し本屋の奥まで連れ去っていった。
□□□
それから、周りに人がいないのを確認してからカールちゃん……もとい薫に確認するため切り出した。
「……さて、アッシュ達から離れたしもういいよね」
「えっと……どういうことでしょう?」
「フフフ、隠さなくてもいいよカールちゃん……いいえ、薫」
「!?」
薫は驚いていた。
まぁ、そうであろう。
現在の薫は完全に女性として振舞っていたため、私達に正体を明かしていない。
だから、私は薫になぜ分かったかを語った。
「だって、魔力の波動がまったく一緒なんだものカールちゃんと薫って、魔力の波動がまったく一緒な人っていないんだよ。」
「はぁ……なるほどな。お前、魔力の波動をサーチすることを初対面の人にすること多かったな……」
薫は頭に手をやりため息をついていた。
私はその動作を見て、初めて見てから心のうちにあったものが溢れ出していた。
「うん!それにしても、薫がこんな……」
「どうした?」
薫は私のほうを見て首を傾けた。
私はその動作で私の中の何かがはじけた。
「ど、どうした、そんなに震えて」
「あぁ、もう駄目ぇ!えいっ」
「ぎゃっ」
私は薫を抱きしめていた。
その抱き心地は至福であった。
「あぁ、いいいいこの感じ、ウフフフフ」
「ミ、ミーナ……くるしぃ」
「ウフフフ」
それから、私はしっかりと堪能するまで抱きしめたり、頭を撫でたりといろいろした。
そして、私から解放された薫はその場で座り込んでいた。
それを見た私は少しやりすぎたかなと思ったけれど、まぁいいかと流した。
「うぅぅ……何か……何か失った気分」
「はぁ、すっきり。可愛い者を愛でる……これいいわぁ」
私は、そう呟きながら薫を見ていた。
それを見た薫は少し後ずさっていた。
「はぁぁ……っといけないいけない、本題を聞かなきゃいけないんだった。」
「本……題?」
……私は気を取り直し、薫になぜ女性になっているかを聞いた。
「そう、本題なんで薫、女の子になってるの?」
「あ、あぁこれは……」
薫は、今までのことを私に言ってきた。
……私はその話を聞いてうんうんと肯いていた。
「まぁ、仕方ないものは仕方ない。じゃっ、戻りましょうか」
「あぁ……」
そして、私は薫を後ろにつけ歩いていった。
戻る最中、私はたくさんの掘り出し物の本を見つけ漁っていった。
それから、少しして私達はアッシュ達のところへと戻っていった。
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