3−6

「王陛下!侵入者を捕らえました!」

 それから3年後の事、兵の一人が二人の少年を連れまわしながら叫んだ。

「おお、ご苦労であった。」

 王がニタリと笑う。赤いカーペットの上にロープで拘束されたベルーイとフルネスが放り投げられた。

「一体どうして捕まったんだ!」

「あんな所に兵がいるなんで聴いてないよ!」

 二人が混乱のあまり口走ると王は鼻笑いしながら言った。

「察しが悪くて残念だが、レリビディウムに内通者がいたということだ坊やたち。いいか、お前たちが侵入してきたのは今日で2回だ。1回目はこれより少し前にランバー・トールスキンとかいう男らしいが残念ながら姿を見る前に逃げられてしまった。お前達は内部の情報をよく知ることができるつもりだったのだろうが、城下町の人間をメンバーにするというのがどれほど危険な事か思い知るがいい。」

「え、まさか、ベルーイ!」

 フルネスはベルーイを見つめるとベルーイは慌てて叫ぶ。

「僕が裏切り者なわけがあるか!僕は嘘をつくのはキライだ!」

「嘘吐きが堂々と信念を語っているナァ。」

 王がそう煽るとベルーイは王に叫んだ。

「王よ、あなたなら誰が嘘をついたか知っているはずだ!なぜ一緒になって疑惑の目を傾けるのか、バカなのか?」

 王の緩んだ顔が一気に固くなる。ベルーイは言葉を続ける。

「そうか、確かにバカだ。お前の父王は植人を悪利用したバカだ。そしてお前はその悪利用すら理解できているとは思えない。それもバカだ。バカにバカを重ねて大バカになってしまっては、自分がどこにいて何をするのかもさっぱり理解できないというわけだ。だから僕が正しいのか正しくないのか分からないんだな。」

「ううううううぅぅう!」

 王は呻きながら玉座の脇のレバーを引く。たちまち赤いカーペットの床が開いて、ベルーイは「わっ」と叫びながら落ちて行く。たまたま開く寸前の床で座ってたために落ちるのを免れたフルネスは、「ベルーイ!」と叫ぶ。

「運が良かったねぇ。キミは無事に死なずに植人になれるよ。」

 王は満面の笑みを浮かべながら言った。

「それに書類も厳重管理する事にしたから植人になったキミの消息は誰も掴めないからみんなキミのことを忘れてくれる。」

「うわあああああ!」

 フルネスはそのまま大泣きし始めた。それを見て王は冷たく言う。

「僕は君たちを決して許さないよ。人間らしい人間の癖して、偉そうだからな。僕には情報がある。お前達の鼻を、折ってやる。」

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