王編

3−1

 アルゲバ王4世は飽きっぽい性格であった。すぐ退屈になってしまい、召使を剣で斬り殺してはゴミ捨て場に捨ててばかりいたのだがまだまだ飽き足らない。どーしてかこう、心が満たされず、上手くいかないなーと足を組んで空を見ていた。

自分を支配していた憎き父王3世の暗殺、権力の奪取。そこまではよかった。だが、その後の政治がどうも面白くない。王は趣味で、本来いく必要のない裁判に毎回立ち会うのだが、どいつもこいつも悪い奴に見えてくるのだ。

「有罪だよ!」「言うまでも無く有罪!」「よくわかんないけど有罪!」「こいつは死刑!」「こいつは植人でいいや。」「有罪!」「こいつは今から僕が撃ち殺しとくね。」

 アルゲバ王4世は47歳になるのだが妻・女王も子供もいない。それもそのはず、彼は病的に歪んだ精神の持ち主であり、愛した直後に理由の分からぬ自己嫌悪のような苦しみと激しい憎しみに駆られて妻となる者まで次々と殺めてしまうからだ。

「僕の子供はもうキミしかいないよぉ。」

 と言いながらアルゲバ王は抱きかかえている大きな黒の球体を大事そうに愛撫する。人の頭より一回り大きい。ブゥウンと微妙な振動がアルゲバ王の指に伝わる。この中にはテラミカ石板が入っている。

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