※幽霊限定恋愛相談屋

琥珀色皐月雨。

序章

第1話 全ての狂いはここから始まった

「見つけました!」


高校生活記念すべき初日。

自分と同じような新入生がたっぷり詰め込まれた教室に入った時、そんな嬉しそうな声で笑い掛けたのが、自称"主様"だった。

しかも、何故かに、堂々と座って。

周りの新入生と同じく、制服であるブレザーを着ている。

周りと違うのは、

そんな奴が、心の底から嬉しそうに、俺を見つめていた。


「……は?」

一度声に出してから、はっと我に返る。自分と同じブレザーを着ているのだ。しかも男物。もしかしたら、席を間違っただけかもしれない。

勇気をふり絞って、こっそり深呼吸して――――


「坂口琥珀君。君を、2000年5月29日の午前3時15分4秒に生まれたと云う罪的なもので、吾の使者に任命する。拒否権は無い」


――――何も言えなかった。

自称”主様"が俺に向けてビシッと左手の人差し指を向けて、キメたことによって。

数秒間俺の脳が、思考を停止した。

――今こいつ何て言った?? 任命? 拒否権無し? てか、罪って何だよ!?

言いたいことは山程あるのだが、余りにも突拍子が無くて口がパクパクとしか動かない。


「なに、使者と云っても一日中24時間体制でとは云わん。高校生活との両立も余裕じゃ」


ドヤ顔だった。

今まで見た中で一番の。

もう、急展開すぎて何も言えない。


「と云う訳で、今日から坂口君には吾の使者と云うことで『幽霊限定恋愛相談屋』をやってもらおう!」




これが俺の高校生活最初の出来事エピソードであり、これから始まる非日常の幕開けだった。



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