緑械の贄人
杏仁みかん
第一章 仮面の子供
1.機械樹の森
#00:紅き彫像
どこまでも続く巨木の大神殿。落ち葉を
規則正しく、だが、今にも乱れそうな渇ききった荒い吐息と落ち葉を
「あっ……!」
やわらかな葉のクッションがその身を受け止めたものの、立ち上がる気力は最早残されていない。目眩がするほど息も切らしていた。
――トン。
――……トトン。
背後から忍び寄る、あまりにも軽い足音に血の気が引いていく。
少年は、力を振り絞って仰向けになると、後方からの脅威に身構えた。
霧の奥――赤黒く明滅しながら漂う、闇に紛れた二つの丸い光。
いつの間に直ぐ傍まで来たのだろう。ゆっくりと、
黒い、野獣だろうか。
光沢を帯びた黒い肌に、鋭く湾曲した長い牙。落ち葉に立つ、四本の脚。
少年はがたがたと四肢を震わせ、恐怖のあまり、無意識の内に失禁した。
「かか、神様――!」
子供は身を起こして慌てて胸元で手を組み合わせ、か細い声を何とか絞り出した。
「約束を守れなかったぼくを、ど、どうかお許…………ッ!?」
ばりっ……ごりっ……
ぢゃくっ……
――それは、青白く照らす月明かりを赤く染め上げるかのように。
小さな身体の頂から最期とばかりに噴き上げた紅い飛沫は、しかしながら、僅かな間で勢いを失くしていき……。
子供は終に、
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