新感覚! 飛び出す異世界召喚型格闘ゲーム『身体から☆出ますよ?』
ヨーキなくらげ
第一章 ※ただし、攻撃力はありません。
第1話 プロローグ
例えば或る人間は、未知なる能力を利用し、人を攻撃出来ると言った。
それは、特別な『彼』には利用する事が出来、それ以外の人間には使う事はおろか、見る事も出来ないと話すのだ。
他の人間には認識出来ないものを何故か彼だけは使用し人を裁くという、清々しいまでに矛盾を孕んだこの能力は、古来より渇望され続け……そして現在もなお、何処かには存在すると信じられてきた。
だが――言わば『謎エネルギー』とも言える不可視の力を、捻り出し、可視化させ、放出する事など、いくら念じたところで人間に出来る筈がない。
同じ人間には無理だった。強いて言うのであれば、『この環境』に居る限りは無理だと思われた。
そう、この『地球』という世界では。
だが、誰もが望んだ。自分の身体からは、いつかきっと、未知なる能力が発現する筈だと。
やがて未知なる能力は『魔法』と呼ばれ、様々なものを好き放題に具現化させる力に変化した。
魔法と呼ばれた特異能力は、ありとあらゆるものを出現させる事ができる、都合の良すぎる能力となってしまったのだ。
そして、時代は進化する。
人は、ついに身体から未知なるエネルギーを放出するという夢を、電子媒体による遊具に反映させる事となった。
そう、ゲームである。
電子媒体の向こう側にいる彼等は飛び道具を持ち、腕から衝撃波を放ち、有り得ない距離の相手を攻撃する。
扱い切れない大型の武器、華奢な体型、最早遊具としか思えない道具などなど、若者の『夢』は留まる所を知らない。
自分は成れずとも、「もしかしてこんな連中が居たら良いなあ」などという儚き夢を、若者は抱き続けてきたのだ。
では、その電子媒体によって作られた世界に酷似したものが、『地球』では無い場所に『実在』したらどうだろうか。
彼等は飛び道具を持ち、腕から衝撃波を放ち、様々なものを身体から放出する。
例え攻撃力は皆無だったとしても、未知なるパワーは確かに存在しているのだ。
その、世界には。
――さあ、不可思議なパワーの話を始めよう。
彼等のうち、地球と異世界とを行き来することのできる最も希少な種族は、ゲームを得意とする人間達に興味を抱いていた。
時は二○一○年。
東京都新宿区、新宿駅の巨大な地下道。
実に二百にも上ると言われる地上への出口を持ち、いくつもの交通鉄道の駅を地下に収納するなど、桁外れの敷地を持つこの地下道の、一番端にあるE一出口の更に先には。
日付変更時刻より十分のみ開くと言われる、業務員用扉があり。
まるでゲームのキャラクターをそのまま具体化したかのような摩訶不思議な生命体が異世界より行き来し、その存在価値を競って戦うと言われる、
更なる地下、『ゲームセンター・
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