破。
――さて。
とうとう、奴等の巣くう「サウ太陽系」の第三惑星「アーシア」が見えて来た。
……何て綺麗な星だ。俺の故郷の星に負けるとも劣らない程の美しさだ。アリアに見せてやりたいな。ああ、でもこの間、俺、アリアにふられたんだっけ。やっぱり、いきなり押し倒したのがいけなかったのかな?
まあ、いっか。細かい事には気にしない。
――おう!大気圏に突入したか。ガクン、と来たね、ガクン、と。このGが堪らねぇや。
……海だ。大きいな。
――見えた!あの極地を結ぶように横たわる細長い島が、奴等のいる所だ。よし、急げ!
――ガクン!
な、何だ、何かにぶつかったぞ
…何だ、原住民の建てた建物か。全く、邪魔な建物だ。地表の方では、原住民が建物の破片の落下に驚いて慌てているぞ、ざまあ見ろ。所々、小さな赤い染みが出来て綺麗だな。
――むうっ?地表に見える、赤、青、黄色、高い空 、もとい、赤、青、黄、ピンク、黒の五色の戦闘服姿の人影は――現れたな、極悪五人組!
よし、地表へ転移だ!――カメラマンさん、ちゃんと付いてきてよ……あ。ごめん、ここオフレコね!
――!シュウウウウウ――!!ザシャアァ!!!
地表に降りた。だけど、奴等の姿が見当たらないぞ?おのれ、何処へ隠れた?
――おう!奴等、いつの間にか、俺の背後の瓦礫の上に立っていやがった。しかも、恒星の日差しを背に、横並びに立っていやがる。何て気障な奴等だ、嫌いになれるタイプだぜ
!
『よく来たな、この悪党!』
――って、おい 何でお前らが言う?それは俺の台詞だぜ!ふざけやがって!!
もう、容赦しない――、こら、お前ら、瓦礫の上で何一人一人ポーズをとっているんだ?
『レッド・ワン!』
『ブルー・ツー!!』
『イエロー・スリー!!!』
『ピンク・フォー!!!!』
『ブラック・ファイブ!!!!!』
『五人合わせて、大戦隊ジャスティス・ファイブ!!』
ドカアァァァァァ――ンンンンッ!
……な、何だぁ?名乗り上げたら、今度は奴等の背後で大爆発が起きたぞ?!
危ねぇ!絶対、こいつら危ないぞ!
こんな所構わず爆発させる危険な奴等を、野放しには出来ない!この場で全員叩きのめしてやる!
行くぞ、『凍結』っ
……何だよカメラマンさん……え、何故、『凍結』だって?もっともだ、本当は『蒸着』と言って、俺の載って来た宇宙巡洋艦にあるコンバット・スーツを俺の体の表面に転送する事によって装着されるのだ。だけどさ、物質を瞬間に転送すると言う事は、転送されるその瞬間の状態で送るという事なので、物質を構成する分子の運動が写真に写った様に固定されている。つまり、分子の運動エネルギーはゼロなのさ。転送された直後は、ゼロになった分子運動のエネルギーがもたらす絶対零度の凍気が、俺を襲う仕組みになっているのだ。
まあ、俺は寒さに強い方だから、少し我慢すれば直ぐに暖まる。それでも毎年何名かの宇宙刑事が、敵を前にして、蒸着時に体が凍結してバラバラになっているそうだ。まあ、運が悪かったんだろうな。くわばら、くわばら。
以上、説明終了。さぁ、ちゃっちゃと片づけますか。
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