BARナザリックへようこそ

taisa

本編

第1話 ここはBARナザリック

 酒飲みだった。

 日本酒では純米。ワインでは甘めのスパークリング。ラムなら辛めで香りが高いもの。上げれば切りがない。幸い仕事は出張が多く、日本全国の酒と食を楽しめたのは良い事だった。定年してからは、妻に教わり料理を覚えた。しょせん家庭料理。されど家庭料理。美味しい酒とつまみのために運動し健康になり料理を作る。世界各地の酒を楽しむ。

 そんな日々。十二分に長生きできたと考える。だからこそ祖父や父親と同じ様にガンになっても、まだいろんなモノを食べてみたい飲んでみたいと思うも後悔はなかった。子供は独り立ちし孫までいる。両親や妻より長生きできたのだ。

 遺言には、寝室の本を一緒に焼いて欲しいとした。まあ、生前整理して本棚二つ分。迷惑かもしれないが燃えないものでないし、そこは最後の我儘と許してもらおう。

 例えば指輪物語。

 例えば海底2万マイル。

 例えば世界の酒の紹介本。

 例えば有名な料理人のレシピ集。



 その中に若い頃読んだ黒い本が含まれてたことを本人も忘れていたのだが……。




******


 気が付けば地獄にいた。


 周りには骸骨や悪魔、中には名状しがたいものまで、多種多様の存在に驚いた。自分は生前の行ないを気を付けていたわけでもなく、神も信仰していなった。しかし地獄に落ちるとは思っていなかったので、地獄のような場所と認識したときはとても驚いたものだ。

 あと地獄といえば閻魔大王や鬼灯様には会えると密かに思っていたが、見たこともない悪魔?のようなものにあっただけだった。自分はインキュバスとして生み出されたが、人間としての記憶があるから死んだ魂でも再利用された……と考えることにした。

 今では地獄の酒場で仕事をしている。上司は地獄の副料理長。キノコだけどダンディでいいひと?だ。


 ここ、BARナザリックはなかなか面白い職場。




******


 酒場は夜開くもの。

 では常に闇に包まれた地獄ではいつ営業するのか。


 答えは、休憩や仕込みなどで閉める時間はあるものの、ほぼ24時間営業である。時計があるので24時間の感覚は存在するのだが、地下のため日の光が無く正直いつ仕事していつ休むのか決まっていない。なによりブラック企業真っ青な24時間労働が当たり前。

 夜の飲みといえば、眠りの前、一日を疲れを癒やすためのひとときである。しかし地獄ではある意味休憩・食事の一環でしかないのだ。そもそも「酔」が状態異常扱いなので、わざわざ状態異常対策装備を外されて来店されたり、中には状態異常を強引に引き起こすために呪い系アイテムまで利用されるお客様もいるから業が深い。


 そんなある日コキュートス様が来店された。

 地獄にはいろんな種族の方がいらっしゃる。コキュートス様も虫系種族とのことで表情こそ分からないが、守護者つまり地獄の高官としてご多忙でお疲れなのだろう。さらに思い悩むような雰囲気を醸しだされている。


「これはコキュートス様、ようこそいらっしゃいました」

「ウム。ナニカ適当ニ頼ム」


 コキュートス様は、何でも食されるのですが、好みは大きな体にに似合わず甘いもの。そこでお体のサイズに合わせて大きめのジョッキを準備し、林檎を絞ったものに色合いの違うシロップを二種、ピリスナービールを合わせて軽くステアする。ビールのカクテルとしては珍しく甘さを全面にだしたものだが、疲れている時にはこのようなものも良いだろう。そして新鮮な野菜スティックにオリーブオイルと岩塩をだす。


「お疲れのようですので、ビールのカクテルに新鮮野菜のスティックにございます。お好みでオリーブオイルと岩塩をつけてお召し上がりください」


 コキュートス様は静かにビールを飲む。

 この御方は武人ということで戦闘に関することは雄弁だが、ソレ以外については寡黙であられる。しかし、その内にはしっかりとした意見を持たれている方だ。そんな方が悩まれ、わざわざ気分転換に酒まで飲まれるなら、一歩踏み出すのもバーテンの仕事。


「なにか気がかりでもございますか?幸いここは酒場。ここで見聞きしたことは外に持ち出さないのがルール。いかがでしょう言葉にされるだけでも、状況の整理のお助けになるかと」

「フム。ソウダナ……」


 どうやらコキュートス様は、新しい任務に携わっているが、与えられた権限では、達成は難しいということらしい。地獄の高官が悩む任務など想像もできないが、しかしものごとは視点を変えるだけで解決することも多々ある。もっとも得てして視点というのは、変えようと思っても変えることは難しい。ならば……


「そうですね、少々お待ちいただけますか」


 そういうと準備をはじめる。といってもすでに冷まして準備ができている野菜のテリーヌに、特性のソースをかけるだけなのだが。


「こちらは、野菜を中心とした3色のテリーヌになります。まずお召し上がり下さい」

「ワカッタ」


 そういうとコキュートス様は、最初は一色、次は二色、最後は三色と器用に食べられる。


「1ツ1ツ、別ノ旨味ガアル。アワセレバ更ニ複雑デ奥深イ味ワイトナル。ナカナカスバラシイゾ」

「こちらは、以前、肉・魚などのバリエーションで作った際、コキュートス様が野菜が好みと言われたので、新たに考えた一品です。物事は1人では限界があります。料理人ならば他の料理人やお客様と対話します。そして気が付いた点を改善するのです。コキュートス様のお悩みも、私では推し量ることは叶いませんが、他の守護者の方々と対話されることで解決の糸口を見つけることができるかもしれません」

「ソウダナ」


 そういうとコキュートス様は、静かにビールを飲み始める。その後何度かおかわりされたので、ビール・カクテルはお口に合ったのだろう。

 よかった。




******


 コキュートス様がおかえりになられたあと、数名のお客様を向かえる。

 あのヴァンパイアとワーウルフの組み合わせは、お客様とはいえやめて欲しい。酔っ払うと口論はじめるのがわかってるなら、毎度いっしょに店に来るなと。バーテンダーの格好で近接格闘スキルを使い叩き出す。夜の飲み屋では酔っぱらいや無法者対策は必須なのだと思い知らされる。近接格闘スキルを授けてくださりありがとうございます。碌でもない理由で、しみじみ創造主に感謝する。

 しばらくすると……



「開いてますか?」

「これはデミウルゴス様。ちょうど準備が整ったところです」

 

 23:00


 デミウルゴス様。この方もお疲れなのだろう。聞けば不眠不休で仕事をされているらしい。しかし数日に一度決まった時間に来店される。本日も、いつも通りを正面のカウンター席にご案内する。

 姿勢正しいダンディな悪魔のデミウルゴス様は、カウンターでグラスを傾けるだけで絵になる。男である自分ですら見惚れるほどに。


「本日は副料理長がいらっしゃらないので、私が担当させていただきます。ご注文はいかがなさいますか」


 このBARのオーナーは地獄の副料理長である。しかし、その役職通りの仕事もあるため、こちらに顔を出すのは思いの他少ない。そんなときお客様のお相手をするのは自分である。


「先日いただいた日本酒の亀の尾と、それに合わせたものを適当に」

「かしこまりました」


 このナザリックという地獄は、名前から西洋かとおもっていたが、そんな事はなく和洋なんでもござれ。中には巫女や鬼などもいたのだから、地獄は繋がってたのねと変な感心をしたものだ。もっとも男性のアレのような姿やブレインイーターを見た時、クトゥルフ系かと驚いたものだが。

 さてデミウルゴス様は西洋系悪魔に見えるのだが、先日日本酒を試していただいたところ、大層気に入っていただけた。副料理長にも許可をいただけたので、裏メニューとして常連様にのみ提供している。


「お通しをどうぞ」


 最初が日本酒ということでカウンターに小鉢を一つお出しする。


「葉野菜と胡麻の和え物となります」


 デミウルゴス様が小鉢を食されている間に急ぎ準備する。

 面取りした大根と茄子を出汁で煮て、一度冷まして味を吸わせるたものを取り出す。そして軽く火をかけ温め器に盛る。そして日本酒はガラスの徳利に入れ一緒にお出しする。


「大根と茄子の煮ひたし。それと亀の尾になります」


 店の柔らかい光に反射し、透明な酒が七色に輝く。デミウルゴス様にガラスのお猪口をお渡しし、最初の一杯をお注ぎする。

 お酒を一口。

 大根を一口。


「ふむ。厚みのある芳醇な味わいに、出汁の旨味を凝縮した大根。なかなか合うものですね。先ほどのお通しも合わせると味の変化が楽しめます」

「ありがとうございます。では次の一品は同じ出汁から、まったく別の味わいを表現させていただきたいのですがよろしいでしょうか」

「では、酒といっしょに任せましょうか」


 まず大根をおろし、水にさらす。次に出汁に醤油、砂糖、そして卵を準備し適量を合わせ、ゆっくりと火をかける。半熟になったら形を整えながらひっくり返す。最後に食べやすいサイズに切り器に盛り、固めかつ潰さないようにしぼり、水気を切った大根おろしを添える。


「だし巻き卵にございます。お好みで醤油と大根おろしをどうぞ」


 そして新しい徳利に酒を注ぎ、おなじく新しいお猪口をおだしする。


「南部美人の濁りとなります」


 すでに開いていた器をさげる。デミウルゴス様は静かに味わっておられるようだ。


「先ほどとは違い、飲み口が軽くフルーティーな味わい。すこし甘めだが温もりを感じさせる卵料理。ここは毎回新しい驚きがありますね」


 お客様に評価を頂ける。それが地獄の高官ともなれば嬉しい限りだ。


「そんな事はございません。たとえば新鮮な食材の多くはダグザの大釜のおかげ。酒も魔法で生み出す能力を授けていただいた至高の方々のお陰にございます」


 そう。料理スキルも含めて与えられたものなのだ。自分は記憶も含めてうまく利用しているに過ぎない。それでも嬉しいことにはかわらないが。


「謙遜することはありません。本当に同じなら、同じ料理スキルを持つ料理長や副料理長と同じ結果となるはずです。しかし、まったく違う結果が生まれる。ふむ、その違いは何故なのでしょうか」


 そう言うと、酒を口に運びつつ静かに思考の海におちられたようだ。しばし待ち、お酒が切れたところ重厚な味わいに定評がある真澄の辛口大吟醸と、炙りサーモンをお出ししつつ声を掛ける。


「私見でございますがよろしいでしょうか」

「ええ」

「想いや目的の違いかと思います。料理長とは面識があまりないのでわかりかねますが、BARのマスターでもある副料理長は料理をもってお客様に楽しんもらいたい。そして新しい味を探したいという紳士的でありながら好奇心に満ち溢れた御方です。そのため、お客様が笑顔になる料理をお作りになられ、そこで満足せず新しい味を探求されてます」


 そこまで言うと一区切りを入れ、空いた器を下げる。


「私は酒でひとときの癒やしを得てもらいたい。そのため、お客様の気分に合ったお酒と、それにあわせた肴を用意します。同じ料理スキルでも考え方1つで違う結果が生まれるのは、そのためではないでしょうか」

「なるほど。なかなかおもしろい考えですね」


 デミウルゴス様も満足されご様子。静かにお酒を楽しまれている。

 これ以上のお声がけは無粋というもの。他のお客様がいらっしゃった時のために準備をすすめましょう。




******



 03:00


 客が入れ替わり立ち代わり入店するBARナザリック。しかしこの時間となるとその足は途絶える。

 洗い物を終え、そろそろ明日の分の下ごしらえをと準備をはじめると扉が開く。


「ほ~らマーレ。早く入る」

「待ってよ。おねえちゃん」


 来店されたのは、守護者のアウラ様とマーレ様。お名前とお顔は拝見しているものの、来店された回数は少なく、お二人で来られたのは初めてかもしれない。


「ようこそいらっしゃいました。アウラ様、マーレ様。カウンター席にどうぞ」

「うん。ご飯たべそこねちゃってね。なにかある?」

「ご要望はございますか」


 可愛らしいお二人が席に座られる。その姿はやはりとても似ていらっしゃる。


「お肉がたべたいな」

「ん~おねえちゃんといっしょので」

「お酒はいかがなさいますか?」

「少しお願い。このあと軽く寝てから仕事に入るから」

「畏まりました」


 活発そうなアウラ様がお肉ですか。乾モノ・アイスバインや生ハムでは物足りないでしょう。フム。たしか仕込みが終わっているモノにアレの種がありましたね。アレを活用しましょうか。


 まず、食前酒としてお出しするのは甘いスパークリングワインのピンク。飲み口も軽く後に惹かないため、どの料理にも合わせることができる。前菜としてマグロとオリーブのアンチョビに、シーザーサラダを盛りつける。

 フランスパンをカットし、バスケットに入れお出しする。合わせはバター。そして具は少なめだが、透き通るコンソメのスープを温めてお出しする。


「スパークリングは久しぶりに飲んだけど、ジュースみたいでおいしいね」

「……」


 マーレ様はサラダとスパークリングを楽しまれているようだ。アウラ様はすごい勢いでパンやアンチョビ・スープを食べ始めている。これは急がないといけなさそうです。


 合言葉と唱えると、カウンターの内側が入れ替えられ、普段はコンロが3枚とオーブンのブロックだが鉄板に変わる。もともとパーティー用の設備だが こんな時はこれにかぎる。


「へ~鉄板か」

「はい、どうせなら目で楽しんでいただきたいと思います」


 寝かせておいた種取り出す。もう少し寝かせたいところだが、十分だせるレベルなのでそのまま使う。

 そして鉄板に油を引き、野菜を火にかける。少々の柔らかくなった当たりで端の弱火のところに避ける。ここからが本番であるハンバーグを焼き始める。


 じゅわっという、肉汁が弾ける音。

 肉が焼ける特有の香り。


 同じハンバーグでも目の前で焼くというパフォーマンスは、視覚・聴覚と嗅覚にダイレクトに味わいを届けることができる。徐々に音が代わり、肉の色が変わり始める。アウラ様の顔を見ればすでによだれが出そうなほど楽しまれているようだ。マーレ様も、興味深いのだろう目を輝かせていらっしゃる。

 このパフォーマンスもそろそろ大詰め。肉汁は半分をソースに、半分を玉ねぎやコーンと軽く炒め、最初に火を通しておいた付け合せの野菜と皿に盛りつけお出しする。

 量こそ少なめだが、こんな時間だ。食べたいという感覚だけなら、いまのパフォーマンスで十分に満足していただける……とおもっていたが。


「うん。すごくおいしい。もう少しある?」


 どうやらマーレ様は満足されているのだろう。美味しそうに召し上がっておられる。しかしアウラ様にはボリュームが少々足りなかったようだ。

 そこで新鮮なアスパラを数本まとめてベーコンで巻き、先ほどの肉汁の上で焼く。あとクラッシュトマトをベースに塩・胡椒で味を整えたトマトソースを作る。それと、付け合せに、いつでも出せる作りおきマッシュポテトを少々。

 お出しするとアウラがすごい勢いで食べだす。

 その姿を眺め、タイミングをみてお声を掛ける。


「最後にデザートのアイスがございますがいかがでしょうか」

「デザートがあるなら、これでいいや」

「畏まりました」


 桃の果肉を加えたアイスをグラスに盛り付ける。肉を食べた後なので、ミネラルウォーターに炭酸のみを加えたクラブソーダも合わせてお出しする。


「いかがえしたでしょうか」

「うん。なかなか美味しかった。次はもう少し量と種類を多く食べたいな」

「事前にご連絡いただければ、ご要望に合ったものを準備させていただきます」

「そっか。じゃあ、次来るときは事前に連絡いれるね」

「うん。おいしかった」


 2人のベクトルの違う笑顔に癒やされつつ、お礼を申し上げる。


「お褒めいただきありがとうございます。またのお越しをお待ちしております」


 お二人がお帰りになられ、静かになった店内を見回す。得も言われぬ寂しさをかんじつつも、適当な残り物の賄いを食べて次の仕込みをはじめるのだった。





******


 今日はお客様が珍しく来ない。

 掃除も終わり、下ごしらえも終わり、グラスを磨くも人が来ない。

 こんな日もあるので、副料理長には本日上がっていただき自分が留守番と相成った。


 シックにまとめられたマホガニー製のカウンター席。6人かけのテーブル席が少々。けして広くはない店内だが、1人でいると恐ろしく広く感じゆっくりした時間が流れる。

 幸いこの体になって肉体的・精神的な疲れから開放されたので眠いということはないのだが、暇なのはかわらない。

 こんな時には決まってやることは、料理の研究である。日本酒や関連料理もこんな時にできたのだ。


 今日は、日本の食卓を再現してみようかと考える。


 米、鮭、鰹節、味噌、豆腐、わかめ、ほうれん草、なめこ、にんじん、醤油、みりん、塩


 炊飯器がないので、米は小ぶりの土鍋で炊く。鮭は切り身にして塩を振って焼く。豆腐とわかめは鰹節で出汁をとった味噌汁に入れて軽くひと煮立ち。なめことにんじんは醤油とみりんを1対1にして炒める。ほうれん草はおひたしにする。

 そんな料理を二人前作る。食べてみて美味しければ、冷める前に常連を1人呼び出したべてもらうつもりだった。

 しかし、そんな時にはじめてのお客様が来店される。


「開いているか」

「はい、いらっしゃいませアインズ様」


 威厳のあるアンデットの姿に黒いローブ。この地獄の支配者であるアインズ様がお越しになったのだ。

 しかし、自分もバーテンダーとなって数十年。一流であろうと心がける。慌てず騒がず対応する。


「お忍びでしたら、奥の席がございます。視線の関係で、目立ちませんのでこちらにどうぞ」

「ああ頼む」


 アインズ様が悠然と店内に入り歩いているが、自分の目の前で急に立ち止まる。その視線の先には、先ほど作った日本食があった。


「うま………いや、その食事はどうしたのだ」

「はい。こちらは研鑽のために調理した日本食にございます。素材はしっかりしたもので作りましたが、食べ合わせのバランスをこれから確認するところにございます」

「その味見に参加してもよいか。いや是非参加させよ」


 アインズ様がかなり強い言葉で依頼される。というよりほぼ命令である。デミウルゴス様やコキュートス様から慈悲深い方とうかがっているも、同時に苛烈な方とも聞いている。先日、地獄に賊が侵入したときも凄まじかった。

 しかし、同時に地獄のトップに自分の味をみてもらいたいと思うのも確か。


「どうぞ。ご批評の程よろしくお願いいたします」


 アインズ様を奥の席にご案内し、食事を配膳する。


「いただきます」


 アインズ様は手を合わせ、食事をされる。その姿に、「ああスケルトンも食事ができるのか」と間抜けがことを考える。※口唇虫が無いと食べられません


「うまい。天然素材の日本食などはじめて食べた」

「ありがとうございます。ダグザの大釜の食材ですが、新鮮な食材の味を引き立てたてるよう調理しました」

「そうか」


 アインズ様の食が進み、そろそろ終わりが見えたころ次の準備をはじめる。玉楼の茶葉に急須。すなわり緑茶の一杯である。


「お茶をどうぞ」

「緑茶か。ああ旨い」


 湯呑みを両手に持ちホッと一息するアインズ様の姿に、日本人の姿を幻視する。もしかしたら自分と同じように元日本人なのかもしれない。自分のような存在がいるのだから、それもありえるのかなと漠然と考える。もっとも、限りなく正解とは思いもしないのだが。


 今日もBARナザリックには誰かが訪れる。


 アインズ様が定期的に食事に来るようになるのは数日後。

 それを見つけた守護者も、同じように食事にくるまで数週間後。

 可愛らしいマーレ様が実は男と知るのは当分先。




------了

 




 

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