○○の問題

@force

建物の問題

「ふと思ったんだけど。」


海洋機構のビルの中で、1人の皮服の女性が疑問の声を発した。


「……大地人の建物って誰がどうやって建てたのかしら?」

その疑問に、周り一同が一斉に黙り込んだ。

「えっ……そりゃあ村人が集まって、トンテンカンテンって作ったんじゃないのかしら?」

「いや、スキルないと<セルデシア>じゃ物作れないから。」

「じゃあ<大工>さんだ! <大工>さんがトンテンカンテンってっ!!」

「手料理すら思いつかなかった人達がそんな事できると思うの??」


その言葉に一同が一斉に黙り込む。


「なあ、<大工>のスキルに建物建てるスキルってあったっけ??」

「そーいえば無かったような………。」


「じゃあさ、<大地人>って建物建てられないのにどうやって街とか村とか作ったの??」


「………謎だ………。」

「……きっとゲームの時に用意されていた建物を何も考えずに使ってるんじゃない?」

「だったら結局この世界はゲームの中って事になるんじゃ………。」


大地人はこの世界で生きている人間だという事を根本から揺るがしかねない事態に一同が一斉に黙り込む。


「おーい、みんなどうしたんだ?そんな難しい顔して。」

そこに1人の男がやってきて声をかける。

「あっ、そうだ、たかや。大地人ってどうやって家を建てるか知ってる??」

女性の言葉に一同がやってきた男に声をかける。


「どうやってって……そりゃコマンドで作るんだろ?」

「いやさ、そのコマンドが無いんだよ?」

「あるよ。」

そうたかやと言われた男は断言する。

「誰かー確認したことのある奴―!」

「知りませーん。」「知らないぞ。」「4キャラ使ってたがそんなスキル一度も見た事は無いぞ。」

全員に否定されて、たかやは首をかしげる。

「あっ、そうか。こりゃNPC専門………。」

メリッっと嫌な音を立ててたかやの顔面に飛び膝蹴りが入る。

「NPCじゃなくて大地人。」

立ち上がりながらもまた説明を続ける。

「あいたたたたたた…………うん、ゲームだった頃はNP……。」

メリっ。

「だからNPCじゃなくて大地人。」

「……大地人専用のスキルで『家を作る』ってのがあったんだ。」

倒れたままの姿でたかやが言葉を続ける。

「「「まんまじゃねーか!!」」」

たかやの説明に全員の突っ込みに一同が声をかける。

「ちょっと待て、じゃあゲーム時代もコマンドで家を作るってやっていたのか??」

「ああ。エリア解放した時、街の復興の為と言う事で色々と素材アイテムを要求されるんだが、その裏でNPC達がコマンドで家を作っていたんだ。」


「へー。エリア解放時とかにねえ……。」

「待て待て待て!!何で大地人専用なんだ!! 冒険者に使えないのは不公平だろう!!」


たかやの説明に1人が突っ込みを入れる。


「そうだそうだ!!」

「運営は何を考えていたんだ!!」


一同がたかやに詰め寄る。


「じゃあさ、往来のど真ん中に家をズドンと建てられたらどうなる?」

「そりゃあ…………そりゃあ困るわな。」

「そうか。冒険者が建物を自由に作られるようになると、ダンジョンの上に建物を建てたりとかできるようになっちゃうわけか。」

「そうなるとそのダンジョンはその冒険者専用にしか使えなくなっちまうし、確かに問題が起きるよな。」

「そうならないように、家を作る事はえ……大地人専用のスキルになっていたんだ。」


流石にそう説明されたのなら引き下がるしかない。


「なるほど。そうだったんだー。大地人専用スキルかー。そりゃ盲点だった。」

「N…大地人がそんなスキル持っていたって、誰もわからないわな。」


どうやら一同納得したようだった。


「まあ、要望はあったんだけど聖地に建物を建てようとする奴らがいて、結局実装はされなかったって訳だ!!」

「へー、アニオタのせいで、実装されなかったって訳か。」

「えっ?なんでそうなるの?」

「えっ??」

彼等はまだ、聖地=アニメの舞台としか思っていない。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る