第2話楽
皆にとっての「楽」とは何なのだろう?
友達と笑いあうのが楽。家族と過ごすのが楽…。
でもそんなもの俺にとっては楽の反対語…、つまり「苦痛」だ。
一人でいるのが楽。
人を傷つけることもせず、自分も傷つかない。
ああ、なんて合理的なのだろう。
人間性、というものがあるのならばそれは幼い時の経験や記憶で構成されるのだと思う。
だからきっと俺はこういう人間なのだ。
でもそんな俺も嫌いじゃない。
こんな理屈ばかりのひねくれた奴が高校2年だとは、世間の誰が予想できるだろうか。
…はい、高校2年の若造、水谷ケイです。
ケイなんて名前と性格は合っていないと影でうわさされているし、実際自分でもそう思う。
まあそれは俺の母に抗議してください。
きっと彼女はこう言うのだろう。
「あらうちのケイちゃんはあなたに迷惑をかけることなんてしましたか?してませんよね。なら我が家にあなたが関わる必要あります?そんなくだらないことを言われても時間の無駄です。」
人にわざわざかみついていくような女だ。
男子は将来母親と似た人と結婚する、などと言われているが、そんなの俺は一度も思ったことがない。
こんな母親と似た人と生涯を共に過ごすのならば、舌をかみ切って死んだ方がましだ。
まあそんなこんなで俺が学校で浮いている、影でうわさされる存在だということは嫌でも分かっただろう。
これはそんな人間の物語だ。
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