第8話 コボル子
グリスラ子とコボルト討伐に出かけました
そういうわけで、二人でコボルトを探す。
っとその前に、グリーンスライムを何匹か倒してすぐにグリスラ子と合成させてやる。
グリスラ子のレベルが2に上がったところで、あらためて捜索範囲を広げる。
そもそも、グリーンスライムとコボルトの生息域はほとんど重なっている。
が、村のすぐ近くだとグリーンスライムしかでないようになっている。一種のチュートリアル的なエリアなのだろう。どのようにして実世界に組み込まれている仕組かはわからないが。
ちょうど、グリーンスライム1匹とコボルト1匹のパーティに出くわした。
グリスラ子はレベルが上がったとはいえ、さしでグリーンスライムと戦うのはきついだろう。
まずは、グリーンスライムに俺が攻撃を加えた。
続けてコボルトが俺に攻撃をしてくる。ダメージはあったが、さして問題の無いレベルだ。
「行け! グリスラ子! アイアンテ……じゃなくて体当たりだ!」
「はいぷる!!」
俺の指示にしたがって、グリスラ子がグリーンスライムに体当たり攻撃をして、グリーンスライムからの攻撃を俺が剣でいなしたところで1ターン目が終了する。
RPGの鉄則にのっとって各個撃破を目指す。俺のレベルも上がっていたこともあり、グリーンスライムはその次の攻撃でなよなよと沈んだ。
グリスラ子がコボルトに攻撃を加えて、続けざまに反撃を食らう。
2ターン目が終了した。
コボルトも3撃程度で倒せる相手だから、次のターンかその次のターンで倒せるだろう。もう一撃くらい食らったところでグリスラ子の体力にも若干余裕はあるはずだ。
が、痛恨的な一撃が出ないとも限らない。
モンスターが死んでしまうと生き返らせるのに結構な金額がかかる。(実際には戦闘不能扱いで序盤では牧場の管理人が特別な薬草を煎じて飲ませるというような設定だったはずだが)
あえて生き返らせずにその場に放置するという選択肢もないことはないが、さすがに初めて仲間にしたグリスラ子である。レベルも上げてしまったことだし、少しは大事にしてやろう。もっと強いモンスターを仲間にするまでのつなぎだが。
「グリスラ子は下がっていてくれ。あとは俺が相手をするから」
「わかったぷる! お兄ちゃん、気を付けるぷる!」
まあ、気を付けるまでもないんだが……。と思いつつ、コボルトをあらためて観察する。
見た目は幼女だ。
顔は人間だが、イヌミミが生えていて、尻尾がパタパタと揺れている。体とか手足は全身着ぐるみのようなモフモフなのだが、既にグリスラ子が一度攻撃を加えているので、着ぐるみが破れて肌が露出している。
毛皮が残っているのは胸の部分。ここはチューブトップのようになっている。あとは腰の辺りがちょうちんブルマのような感じに残っていて。手首から先と足首から先も着ぐるみ状態である。
これは最期まで倒しても残っていたはずだ。
「せい!」
と俺が剣を振るうと、
「コボ!」
とコボルトは悲鳴を上げ、胸を覆っていた部分の毛皮(というか着ぐるみの布地)がはじけ飛んだ。
あと一撃だな。
攻撃しようとしてもターン制の制限で体が動かないので、コボルトからの攻撃を待つ。
「コボ!」
気合とともに、コボルトは殴りかかってくる。
ペコンとしたパンチをお腹に食らうが、特に大きなダメージを感じたわけでもない。
最後の仕上げにとりかかる。
『グリスラ子は身を固くして様子をみている』
俺は、剣を振るってコボルトに攻撃を加えた。
「コボ~!!」
若干の大きな悲鳴とともにコボルトが崩れ落ちた。もちろん腰を覆っていた布地もはぎとられ全裸状態である。
『グリーンスライムが仲間になりそうにこちらを見ている』
とりあえず、一匹目のコボルトだ。パーティ枠にも空きがあることだし、仲間にすることにしよう。
今後グリーンスライムを狩ったら俺の経験値にしたりグリスラ子に合成したりして、コボルトを倒した時にはこいつに合成してやればいい。
しばらくは、合成経験値ボーナスやら、レベルアップ速度やら成長速度やらの問題で、初期に仲間にするモンスターは使い勝手がいいのだ。
中盤以降にまで連れ歩くのは論外だが、序盤のしばらくはこいつらを主力にしてやってもいい。まあ、性格次第だが。
「ありがたいコボ。しっかり頑張るコボ」
仲間にしたコボルトはコボル子と名付けられた。
「先輩! よろしくお願いしますコボ!」
「かしこまらくっていいプルよ。グリスラ子って呼んでくださいプル」
「いえ、そんな。あっしは後から仲間になったコボから。
グリスラ子先輩を立てるのが筋コボ」
「あ~、グリスラ子もああいってることだし、そんなにかしこまるな。コボル子。
しばらくはお前ら二人と、あと一種類ぐらい仲間を増やして固定パーティで頑張ってもらうことにするからな」
コボルトはコボルトで、様々なキャラが居るのか? と思い、それからしばらくコボルト狩りを続けた。
出てくるのはグリーンスライムとコボルトに集中している(というかそれ以外が出てこない)ので、効率は良いはずだ。
途中何匹かのコボルトは仲間にしてみるも、コボル子とほぼ似たような性格であり、特に残しておく必要性を感じなかったので俺の経験値やコボル子の餌にした。
グリスラ子はレベル3になり、コボル子のレベルも3になったところで、本日の狩りは終了である。
そろそろ、次の街なりなんなりを目指してもいい頃合いかもしれない。
まだ3人目の仲間は決まっていないが、回復役も欲しいところでもあるし。
そうなってくると火力担当で魔法が使える奴も必要だし、近接戦闘しかできない雑魚は、二人もいらない。
結局コボル子とは近いうちにお別れだな。
まあ、牧場でのんびりしてくれてればいいだろう。
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